中国の大手ITソリューション・サービス企業、文思海輝技術(Pactera)は、中国ITアウトソーシング大手の旧海輝軟件集団(hiSoft)と旧文思信息技術(VanceInfo)の合併によって、2012年11月に誕生。現在、約2万3000人の従業員を抱える。13年度(13年12月期)の売上高は約6億7000米ドルで、地域別では、欧米が5割、中国が3割、日本やASEAN地域が2割。
日系企業向けビジネスには約2000人の体制で、これまで主に大連と無錫で、対日オフショア開発などのITアウトソーシング事業を展開してきた。しかし、中国の人件費は高騰し、最近は急激な円安元高が進行。李勁松・執行副総裁日本事業群総経理は、「従来の単純なコストメリットを利用したアウトソーシング事業には、限界が近づいてきている。これからのアウトソーシングには、当社独自の特徴が必要だ」と説明する。
そこで、多くの対日オフショア開発企業と同様に、開発工程の請負範囲を下流から上流まで広げるとともに、クラウドやビッグデータといった最新技術を導入。さらに、他企業と差異化するために、保険を中心に金融機関に重点を置いた提案を加速。李・執行副総裁は、「専門領域に磨きをかけて、高品質なサービスを提供できるようにすることで、顧客のエンドユーザー比率を高めている。すでに顧客の7割がエンドユーザーだ」と説明。エンドユーザーからの案件は、SIerからの下請け案件よりも単価が高いという利点がある。