公開日:2022/12/08 最終更新日:2023/12/25

インドオフショア開発の基礎知識|IT人材の特徴やメリットデメリットなど

オフショア開発先として人気の高い国の一つであるインド。発展途上国の印象が強い国ですが、デジタル化が猛スピードで進み、今やIT先進国とも言われています。IT業界のトップ人材にもインド人は多く、今後もIT分野における躍進が期待される国です。

 

今回はインドオフショア開発の基礎知識として、インドオフショア開発の現状やメリット・デメリットなどを詳しく解説していきます。

INDEX

1. インドオフショア開発の基礎知識

2. インドオフショア開発の現状

3. インドオフショア開発のメリット

4. インドオフショア開発のデメリット

5. インド人ITエンジニアの特徴

6. インドオフショア開発が向いている企業

7. インドオフショア開発の事例

インドオフショア開発の基礎知識

インドのオフショア開発について知る前に、まずはインドのIT事情について解説します。

 

インドの人口は14億人を超え、2063年にピークを迎えると予測されていますが、その数はなんと17億人。15歳から64歳までの生産年齢人口も2030年には10億人となり、近い将来、日本を超えた世界第3位の経済大国になると見られているのです。

近年、中国離れによるチャイナプラスワンの動きもインドにとっては恩恵となり、2023年には前年比5.8%の伸びが見込まれるインドは、コロナ前と同等の成長率となると考えられています。

 

2020年の時点でインドのIT技術者の数は日本の約2倍である212万人。この数は今度も増えていくと予想されます。また、数だけでなくインドは優秀なIT人材を輩出することでも知られており、冒頭でも少し触れたとおり、近年GoogleやAdobe、IBMやMicrosoftなど錚々たるアメリカIT企業のCEOをインド系が占めています。

インドはスタートアップ大国とも呼ばれ、評価額が10億ドル以上で、かつ未上場であるスタートアップ、いわゆる「ユニコーン企業」の数は2018年にはアメリカと中国に次ぐ世界3位となりました。

 

スマホ決済大手のペイペイはスマホアプリの開発拠点をインドに設立し、優秀な技術者の採用を強化。フリマアプリ大手のメルカリもインドに現地法人を設立するなど、日本のIT企業もインドに大きく注目しています。

 

インドのIT主要都市として近年注目を集めているのがベンガルール(バンガロール)とチェンナイです。ベンガルール(バンガロール)はインドのシリコンバレーと呼ばれており、インド国内でもハイテク企業やスタートアップが軒を連ねるIT都市です。かつてY2K問題に悩まされた先進国のIT企業がこぞってこの都市にエンジニアを求めた経緯があり、そのおかげでインドのIT市場は急成長を遂げ、ベンガルール(バンガロール)はインドのシリコンバレーと呼ばれる大都市になりました。

 

かつてマドラスと呼ばれていたチェンナイは「インドのデトロイト」「南アジアのデトロイト」とも呼ばれ、2018年から2020年にかけてチェンナイのスタートアップ企業が相次いで資金調達に成功しており、投資家からも注目されている都市です。

アメリカの半導体企業、マイクロチップテクノロジーがチェンナイに新開発拠点を置くなど、今後も大きく発展していくことが見込まれます。

インドオフショア開発の現状

インドがどういう国なのかわかったところで、この項ではインドオフショア開発の現状について理解を深めていきましょう。

 

インドが優秀なIT人材を輩出することで知られていることは先述したとおりですが、GoogleのCEOであるサンダー・ピチャイ氏の出身大学であるIIT(インド工科大学)は、名門として知られるイギリスのオックスフォード大学以上の難易度を誇る大学であり、ピチャイ氏以外にも元ソフトバンク副社長のニケシュ・アローラ氏、サンマイクロシステムズの共同創業者、ヴィノド・コスラ氏など多くのITトップ人材を生み出しています。

IIT出身の人材に注目が集まるのも納得ですね。

 

インドのIT人材が優秀であればあるほど、気になるのは人件費。

『オフショア開発白書(2022年版)』によると、プログラマーが昨年度比104.1%の34.72万円、シニアエンジニアは昨年度比107.8%の51.56万円、ブリッジエンジニアは昨年度比123.8%の67.97万円、PMが昨年度比108.9%の83.90万円となっており、すべての職種で単価が上昇傾向にあります。

 

一見するとコスト削減が難しいかも?と思われるレベルですが、高い技術力を持つインドのエンジニアは他の国のエンジニアよりも工数あたりにかかる時間が少ないこともあり、結果、トータルコストをおさえることができるというケースも。

 

特に大規模なシステムの開発に定評があるため、インドにオフショア開発を任せる場合には案件を選定することが重要です。

 

さらにインドの人月単価や特徴について知りたいという方は、ぜひ下記の記事もご一読ください。

 

* 参考:『【2022年最新版】インドオフショア開発の人月単価相場

インドオフショア開発のメリット

インドオフショア開発のメリットとデメリットについても見ていきましょう。まずはメリットですが、インドオフショア開発の最も大きなメリットは、高い技術力を持つ人材が豊富なため、大規模なシステム開発にオフショアを活用可能であることです。インドには日本の2倍もの現職エンジニアがいるため、リソースが確保しやすいというのはかなり嬉しいポイントですね。スキルレベルも日本人よりも高いと言われています。

 

また、インド人は英語でのコミュニケーションが可能なため、意思の疎通がしやすいというのも世界中でインドが重宝されている理由の一つです。

 

ベトナムやミャンマーに比べると、どうしても人件費が割高ではありますが、インドの人件費はまだまだ日本よりは安価であり、前述したように他国に比べて工数あたりにかかる時間が少ない傾向があるため、結果大きくコスト削減ができたケースもあります。まだまだコストメリットは高い国だと言えるでしょう。

インドオフショア開発のデメリット

続いて、インドオフショア開発のデメリットについても見ておきましょう。

インドにオフショア開発を依頼する際の大きなデメリットは、他国に比べて人件費が高額であることです。大規模なシステム開発などではコストメリットがじゅうぶんあるとは言え、開発の規模や内容によってはコスト削減が難しいケースも。任せる案件は慎重に検討すべきでしょう。

 

また、時間にルーズな国民性も日本の感覚とは異なり、違和感や戸惑いを感じる日本企業は少なくないようです。とは言え、言語や文化、商習慣の違いによって行き違いが生じたりトラブルが起きることはどの国相手でも起こり得ることであり、これらは双方の歩み寄りによって解決できるでしょう。

 

インドが栄えた理由としてY2K問題への対応によって多くの国から開発案件が舞い込んだという経緯はすでに解説したとおりですが、インドが選ばれた理由の一つとして、アメリカとの時差が12時間であることが挙げられます。アメリカの終業時間に案件を依頼すれば、インドでは始業時間に間に合うため、効率がよいのです。

残念ながら、日本とインドの時差は3時間30分なので、この恩恵を受けることはできません。これも小さなこととは言え、デメリットの一つでしょう。

インド人ITエンジニアの特徴

時間にルーズな国民性、とデメリットの面で述べましたが、インド人ITエンジニアの特徴についてもここで解説しておきます。

 

ご存知の通り、インドにはカースト制度があり、生まれながらにして職業を決められてしまいますが、ITに関する職業はカースト制度には定められていない新しい職業であるため、カーストに縛られず高い収入を得られる手段として、多くの若者がIT人材を目指して高いモチベーションを持って勉学に励んでいます。そのため、最先端の知識を持ったIT人材も多く、優秀な人材が多いことが特徴です。

 

インド人は逆境に強く、仕事においては常に創意工夫を行う国民です。より良い結果を出すことで高い収入を得る、ということを重視するため、人間関係よりも仕事の結果を重んじることも。

 

高い技術力と創意工夫の精神を持つインド人ITエンジニアですが、時間にルーズな点だけは日本人から見ると大きな欠点かもしれません。1週間で仕上げてほしい、という依頼を「最低1週間かかってもよい」と受け取ることもあるため、インド人ITエンジニアに対してはマネジメントをしっかり行うことが重要です。

インドオフショア開発が向いている企業

インド人ITエンジニアの特徴がわかったところで、インドオフショア開発に向いているのはどういった企業なのか、についても解説します。

 

インド人ITエンジニアの特徴かつメリットといえば、なんといっても高い技術力です。そのため、技術力を高めたい企業や、中長期的に規模を大きくしていきたい企業で、かつリソースが不足している場合はインドオフショア開発がおすすめです。

インドオフショア開発の事例

インドオフショア開発にはどのような事例があるのでしょうか。先述したスマホ決済大手のペイペイやフリマアプリ大手のメルカリもインドに拠点を設立していますが、ホームセンター大手のカインズがこれらに先駆けてインド拠点を設立しています。

 

2021年、カインズがインドにDX拠点を設立したことが大きく話題になりました。高い技術を持つIT人材への案件依頼が日本よりも安価で可能というのが設立の理由のようです。カインズは2019年からデジタル戦略を強化しており、インドの拠点設立もこの一環なのだとか。

まとめ

オフショア開発を考える際には、トータルのコストをどれだけ削減できるか、も選定の決め手となります。インドオフショア開発は単価だけで見ると割高に見えますが、高い技術を持ったIT人材が豊富であるため、結果トータルコストを削減できたというケースも少なくありません。オフショア開発を進めたい案件の内容や規模によっては、インドオフショア開発が最適であることもありますし、もちろんそうではないこともあります。

 

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オフショア開発.com 編集部

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