SESとは?持続可能な内製化に向けたオフショア活用の可能性

公開日:2022/09/08 最終更新日:2023/08/24

SESとは?持続可能な内製化に向けたオフショア活用の可能性

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システム開発における委託契約の契約形態の一つであるSESは、専門的なスキルを得ることができ、残業が少ないなどのメリットから人気を集めており、常駐という形でエンジニアを客先へと派遣するSES企業も多数存在しています。

 

今回はこの「SES」について理解を深めていきましょう。SESとは何か、SIとの違いといった基礎的な項目から、トレンドや今後の展望、メリットやデメリットなどはもちろん、SESのデメリットを踏まえた脱SESの動きについても解説していきます。

INDEX

1. SESとは?

2. SESのトレンドと今後の展望

3. SESと他の契約形態との違い

4. SESのメリット

5. SESのデメリット

6. 持続可能な内製化に向けた脱SES

SESとは?

|SESとは?

 

IT業界においてSESとは一般的に「System Engineering Service(システムエンジニアサービス)」の略であり、SESとは委託契約の一種です。

 

システム開発において、契約形態は大きく分けて2種類あります。一つめは「業務請負契約(成果物に対して対価が発生する契約形態)」であり、二つめは「準委任契約(労働に対して対価が発生する契約形態)」です。

 

SESはシステム開発や保守運用などにおいて技術者が特定の業務への労働を提供するという契約であり、「準委任契約」に該当します。この契約形態では成果物に対しては対価が発生しないため、成果物を納品する義務も生じません。あくまでも労働に対して対価が発生します。

 

また、この契約に基づいて常駐という形でエンジニアを客先へと派遣する企業をSES企業と呼びます。

 

|SESとSIの違いは?

 

SESとよく混同されるものに「SI」があります。「System Integration:システムインテグレーション」の略であり、システムの開発や構築、保守運用などを請け負うサービスのことです。システムに関する全てを一貫して請け負うこともあれば、工程の一部だけ請け負うケースも。

 

「SI」を事業としている者を「SIer:エスアイアー(エスアイヤーとも)」といいます。SIerは「System Integrator」の略称です。

 

SIはシステムの企画・開発、構築や導入、保守運用に至るまでを請け負うサービスそのものを指す言葉であり、SIerはそれを請け負う事業者を指す言葉なので、契約形態の名称であるSESとは全く異なるものであると言えます。

 

全く別のものなのに間違われやすいのは、SIerがSES企業を活用することが多いからです。人材が不足しているときなどにSIerがSES企業に依頼して人材を確保することがあるため、SIもしくはSIerとSESが混同されることがよくあるのです。

SESのトレンドと今後の展望

近年、SESは大規模開発のニーズに活用されることが多く、大規模開発のクライアントは大手企業や官公庁であるため、業界としては今後も手堅い成長が見込める分野であると言われています。

 

しばらくは安泰と考えられている業界ではありますが、中規模・小規模開発についてはSaaSなどのクラウドサービスやRPAに置き換わっていく傾向が見られるため、これらのサービスについては常に動向を確認しておく必要があります。

 

なぜならクラウドサービスなどの台頭によって今後はフルスクラッチ開発の数自体が減少することが予想されており、それはSIerやSESのあり方に大きな変化をもたらす可能性があるからです。

SESと他の契約形態との違い

SESとSI、SIerとの違いについてわかったところで、SESと他の契約形態についても改めて確認しておきましょう。

 

|SESと請負契約との違いは?

 

SESと請負契約との違いは何に対して報酬が発生するか、ということです。

先に述べた通り、SESは「準委任契約」であり、労働に対して対価が発生します。対して「業務請負契約」は成果物に対して対価が発生する契約形態であり、「請負契約」と「業務請負契約」は同じものです。

 

|SESと準委任契約との違いは?

 

SESはすでに解説したように「準委任契約」ですので、SESと準委任契約は同じものです。

ちなみに、SESと同じ「準委任契約」の一種にラボ契約というものがあります。

 

ラボ契約とはラボ型開発とも呼ばれる契約形態であり、オフショア開発において交わされることが多い契約形態です。契約期間内、エンジニアを一定数確保してプロジェクトを進めるというもので、労働に対して対価が支払われる「準委任契約」となります。

ラボ型開発はオフショア開発においてエンジニアチームと一定期間契約するという形態なので、SESのように常駐する必要がないというのがSESとの大きな違いです。

 

ラボ契約、ラボ型開発については下記の記事も参考になるのでご一読ください。

* 参考記事:「ラボ型開発(ラボ契約・ODC)とは?メリットデメリットと請負契約との違い

 

|SESと派遣契約との違いは?

 

SESにおいても派遣された先で業務を行うため、派遣契約との違いがわかりにくいと思われることがあるようですが、SESと派遣契約には指揮命令に大きな違いがあります。

 

派遣契約は派遣先であるクライアントに指揮命令を行う権利が生じますが、SESの場合は、指揮命令権はあくまでも自社、SES企業にあります。そのため、クライアント先に常駐する場合にはエンジニアが管理職レベルでない場合は管理者も含めた2名以上で常駐する必要があります。

契約がSESであるにもかかわらず常駐先で指示を受けると違法になるため、じゅうぶんに注意しなければなりません。

SESのメリット

ここまで、SESの基礎知識や各種契約との違いを解説してきました。この項ではSESを活用するメリットを企業側とエンジニア側、双方から見ていきましょう。

 

|クライアント企業側のメリット

 

国内のIT人材は慢性的に不足しており、これから自社でエンジニアを獲得するとなると、まず採用が非常に難しいのが現状です。また、採用するとなると教育などさまざまなコストが生じますが、SESを活用すればそういったコストをすべておさえることができます。

また、急にエンジニアの増員が必要となった場合にもSESを活用することでリソースを確保することができます。

 

開発内容によって適したエンジニアは変わってくるので、都度SES企業に条件を提示し、エンジニアを探してもらう方が効率的なことも多いでしょう。

 

|SES企業側のメリット

 

SESはエンジニアの管理をSES企業が行うので、SES企業にとってはエンジニアの管理が楽であることが大きなメリットです。

エンジニアを常駐させる契約なので、データの持ち出しが難しいプロジェクトの案件を獲得しやすいのもSES企業にとっては嬉しいポイントです。

 

|エンジニア側のメリット

 

エンジニア側のメリットとしては、案件が獲得しやすいことや、さまざまなプロジェクトで専門スキルを磨くことができることでしょう。特にSESは大手企業や官公庁の大規模プロジェクトに活用されることが多いため、大きな仕事にかかわることができるのも魅力の一つです。

SESのデメリット

メリットの多いSESですが、もちろんデメリットもあります。SESを活用するデメリットを前項と同じく、企業側とエンジニア側、双方から見ていきましょう。

 

|クライアント企業側のデメリット

 

クライアント企業がSESを活用する際のもっとも大きなデメリットは、準委任契約は報酬が労働に対して発生する契約であるため、望んだ成果が得られない可能性があることでしょう。しかしこれは計画をしっかり立てたり、契約内容を見直したりすることで回避できます。

 

|SES企業側のデメリット

 

SES案件では常に即戦力が求められるため、SES企業は優秀なエンジニアを数多く獲得しておきたいところですが、国内のエンジニア不足は慢性化しており、人材獲得はSES企業にとっても深刻な問題です。クライアントの要求を満たしたエンジニアをいつも確保しておくことが難しいのがSES企業にとってのデメリットでしょう。

 

|エンジニア側のデメリット

 

SES案件は大規模な開発も多く、プロジェクトの一部だけ担当するという場合にはプロジェクトの完成を見ることなく契約期間が終わるため、達成感が感じられないという声も。契約ごとに環境が変わるため、モチベーションが上がりにくいというエンジニアもいるようです。

 

また、SES企業は下請けという立場になることも多く、フリーランスで案件を獲得するエンジニアよりも収入が低くなってしまうのもデメリットの一つです。

持続可能な内製化に向けた脱SES

システム開発には外注する方法と、内製する方法があります。外注は開発会社に依頼して開発してもらうことですが、お任せできるメリットに対して、外部に丸投げしてしまうとノウハウがたまりにくいというデメリットも。

内製は自社で開発を行うことですが、自社で行うとノウハウが貯まるだけでなく、自社で作る分、すべてを自社に適した形で進めることができます。しかしすべてを自社で行うとなるとエンジニアの人件費や採用だけでコストも莫大なものに。

 

そこで、近年は外注と内製のハイブリッド版として、SESやラボ型開発によって外部エンジニアを常駐させ、内製するという方法が取られることも多いようです。

 

SES企業にも人材不足の波が押し寄せており、SES企業やSIerでも優秀な人材を獲得するのが難しい時代となっています。そこで活用したいのがオフショア開発のラボ契約です。

 

海外であれば優秀なエンジニアを比較的安価で、かつラボ契約であればチーム単位で契約が可能です。持続可能な内製化に向けて、オフショア開発を活用してみてはいかがでしょうか。

まとめ

企業にもエンジニアにもさまざまなメリットがあるSESという契約形態は注目を集めてきましたが、最近ではIT人材の不足による一人常駐が恒常化しており、これが違法なのではないかという指摘もあります。一人常駐は結果的にクライアントに指示を仰ぐ形となることがあり、SESの契約形態である「準委任契約」とは異なる働き方になってしまうからです。

 

とはいえ、国内のIT人材の慢性的な不足はすぐに解決できるものではありません。そこで同じ「準委任契約」であり、チーム単位で優秀なエンジニアを獲得できるオフショア開発のラボ契約などを選択肢の一つとして検討することをおすすめします。

 

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オフショア開発.com 編集部

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