オフショア開発(海外にシステム開発をアウトソースしコスト削減する開発手法)に特化したポータルサイト『オフショア開発.com』(URL:https://offshore-kaihatsu.com/ )では、2013年1年間の問い合わせを集計しオフショア開発の動向データを発表した。
◆スマホアプリ開発が3年連続で35%超えの人気
IT企業の約6割(*1)が導入しているというオフショア開発は、今や一般的なシステム開発手法で、海外にソフトウェアやスマホアプリ、Webシステムなどの開発をアウトソースしコスト削減することがスタンダードとなりつつあります。
下記は、2013年のオフショア開発ポータルサイト『オフショア開発.com』へのお問い合わせの各開発ジャンル別集計と、問合せ企業の業種割合を示したグラフとなっております。
*1 -独立行政法人情報処理推進機構(IPA)より
開発ジャンル別の問合せ割合(上左図参照)では、スマホアプリ開発が3年連続で一番多い割合(2011年:同52.7%、2012年:同44.9%)となりましたが、その割合は年々減少傾向にあり今年初めて40%を割り込みました。その代わりにWebシステム開発や制御系システム、パッケージソフト開発、組み込み系、ソーシャルゲーム開発などの案件が増加しております。今までオフショア開発として利用されることがなかったソーシャルゲームの開発が全体の4%とはいえ、増加傾向にあり、中国やベトナムにアウトソースする動きが出てきています。それに伴い今までオフショア開発として不向きとされてきたソーシャルゲームのキャラデザインなどイラスト制作も3年前までは0%だったものの、1%とはいえ、ニーズが出てきています。特に日本向けデザインに強いタイへのオフショアが主流となっています。またスマートフォン用のサイト制作や、CMS構築・移行、HP制作なども海外で開発する会社も増加しており、オフショア開発の案件内容の多様化と実用化が進んでいます。
また、単発案件ではなく、継続的に発注する(ラボ契約)ことを前提とした問合せも増加しており(上右図参照)、これはコストメリットを最大限享受するためだと考えられます。
◆発注側はメーカーが19%と増加傾向
上図の問合せ企業の業種割合を見てみると、開発会社であるSIerが一番多い割合となり、続いてベンダー、メーカーと問合せの多い順に続いています。SIerは今まで国内でシステムを開発してきたが、「開発コストの削減」、「リソースの確保」、「将来的な海外進出」が目的でオフショア開発の導入に至っています。
特筆すべきはSIerやベンダーだけでなくメーカーは19%、小売業者は7%、製造業者は6%と、エンドユーザからの発注依頼もあり、システム開発の商流構造は変わりつつあります。
◆オフショア開発人気国は3連続でベトナムが首位
次に下記の表(リンク先)を御覧ください。こちらは、2013年の問合せをオフショア開発先の国別ランキングにしたものとなっています。
オフショア開発先として一番人気は中国を抑え3年連続ベトナムとなりました。その理由として、実際にベトナムオフショア開発を導入した企業からは以下のような意見を多くいただきました。
・中国、インドと比べてエンジニアの人件費が安い
・親日である
・真面目で向上心がある
・中国と比べてカントリーリスクが低い
・ここ2年ほどでベトナムオフショア開発会社が急増している
・日本との時差が少ない
・インフラ環境の料金など物価が安い
・納品期日や品質に対する意識が高い
オフショア開発を導入する一番の理由は「開発コストの削減」にあります。そのため中国やインドよりも人件費が安く、しかも真面目で親日だというところはベトナム人気の理由の一つだと考えられます。
ただ日本とのオフショア開発の歴史の長さと小型案件から大型案件まで幅広く対応できるという点では中国のニーズは高く、技術力を優先する案件の場合はインドへアウトソースする会社が増えております。
また、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の調べでも、オフショア開発先として今後検討している、もしくは興味がある国は1位:ベトナム、2位:インド、3位:中国(2012年調べ)という結果となっており、この3カ国のオフショア開発ニーズはまだまだ増加していくと予想されております。
●インドネシアオフショア開発
「オフショア開発.com」調べでは、3位にはインドネシアがランクインしています。
インドネシアは2億4千万人というマーケットの大きさと、Facebookやモバイル普及率が高いこと、
あと英語での対応も可能という点で注目を集めているオフショア開発先になります。
●ミャンマーオフショア開発
逆にミャンマーは一時期に比べ減少傾向にあります(2011年:同7.5%)。
一時期はミャンマー人気でミャンマーに視察に行かれる企業が多かったが、ITインフラ環境が
まだ未整備という理由でうまくミャンマーオフショア開発を活用できている企業は少ないようです。
とはいえ、ITインフラ環境さえ整備できれば、その人件費の安さからもミャンマーオフショア開発の
将来性は明るいと考えられます。