システム開発やスマホアプリ開発、組込み系開発などの開発コストを大幅に削減する開発手法で今、最も注目されているもので「オフショア開発」という手法があります。
「オフショア開発」とはシステム開発やスマホアプリ開発を海外の開発会社に委託することで、海外のスキルの高いエンジニアを、日本よりも安価な人件費で活用することを言います。
もちろん日本語が通じて、セキュリティや品質も国内と遜色のないオフショア開発会社を見つける必要がありますが、優良なオフショア開発会社をうまく活用することで、大きなメリットを享受することができます。
そこで、オフショア開発を導入しコスト削減に成功した企業として、日本最大級のゴルフ総合ポータルサイト「ゴルフダイジェスト・オンライン」を運営している「株式会社ゴルフダイジェスト・オンライン」(以下、GDO)様にいろいろとお話を伺ってみました。
「実を言うと、オフショア開発は最初、中国とインドで行いました。ただどちらもうまくいきませんでした。」 と、語るのは、ゴルフダイジェスト・オンライン システム革新本部 本部長 渡邉信之 氏(写真右)。
失敗の一番の理由は”コミュニケーション”だったと言います。
やはりどれだけコスト削減できたとしても、品質が悪ければ意味がありません。もちろん仕様とは異なるものが完成してきても、それは本末転倒というものです。
同氏によると、GDO自体がグローバルに対応できなかったのが問題だと言います。
そんな折、いろいろなご縁がありベトナムで再度オフショア開発をしてみることになったといいます。
ベトナムは中国やインドよりも人件費が安く、また日本語が通じるというところが大きなメリットだと渡邉氏は語ります。 ミーティングなどの打ち合わせはもちろん、仕様書もすべて日本語。日本語独特のニュアンスも通じると言います。
また、ベトナム人は真面目で向上心が強く、日本人に向いていると言われています。
「何かバグやトラブルがあった場合は、残業してもちゃんと対応してくれます。」と、ゴルフダイジェスト・オンライン 開発チーム マネージャー 企画室 村松篤史 氏(写真左)は語ります。
ベトナム人は失敗したとしても、言い訳をせず、真面目に対応してくれます。
また、村松氏は意外にも品質の考え方が日本人に合っていると言います。そのあたりが日本品質を担保できている一つの要因かもしれません。
ただ全てが全て国内の開発会社と同様な感覚でプロジェクトを進めることができるかというとそういうわけではないそうです。
日本では”当たり前”なことが、海外では”当たり前”でないことは(当然のことではあるが)たくさんあり、日本の”当たり前”は海外では当然通用しません。その部分を無理矢理押しつけるのではなく、コミュニケーションを第一に教育していくことが大事なのです。
GDOは今回のベトナムオフショア開発の契約形態を「ラボ型契約」という契約方式を取り入れています。
このラボ型契約(ラボ型開発)というのは、オフショア開発の契約形態の一つで、「ある一定期間(半年や1年などを基本とされています)で発注する仕事量の最低保証を行う契約」のことを言います。
自社専属のエンジニアをチームとして確保することで、柔軟に開発を依頼することができ、自社の仕様やノウハウを蓄積・教育していくことができるメリットがあります。
現在、GDOではベトナム側で24名(3チーム)のラボ型契約で開発を行っています。
基本的にはシステムの部分のみをオフショア開発で、デザインは別。GDOでは開発と保守をメインにオフショア開発を導入しています。
また別途、品質管理チームも編成し、そこでテストケース作成から実際のテストなどを行い、日本品質を担保しているという。
ではそこで一番気になる開発コストについて伺ってみました。
「日本国内の人月単価平均を仮に65万円とすると、月に840万円、年間にして1億80万円のコスト削減に繋がりました」 と、渡邉氏は語ってくれました。
要するにベトナム側の人月単価平均が約30万円(SE、PG含め)ということになります。
もちろんGDOは24名という大きな規模でオフショア開発を導入しているため、1億円という大きな費用対効果が出たわけですが、ベトナム側の人月単価平均が30万円ということを考えると、小さな案件でも十分コスト削減に繋がりそうです。
コウェルではゴルフダイジェスト・オンラインをはじめ、ベトナムと日本でのハイブリッド開発を行い、高品質で低価格なシステム開発が可能です。