オフショア開発はこれまで、受託開発を主事業とするSIer(ITベンダー)が活用していましたが、近年は自社ITサービスを展開する企業はもちろん、非IT企業もオフショア開発の活用が広がっています。このあらゆる企業がオフショア開発に取り組み出した動きが『オフショア開発の一般化』です。

「オフショア開発」とは、システム開発などの業務を海外の開発会社や現地法人に委託することを指します。
開発におけるコストの多くは人件費が占めるため、日本国内に比べて人件費の安い海外に業務をアウトソースすることで、コスト削減が期待できます。
日本企業は主に中国を委託先としてきましたが、近年では中国の人件費が上昇したことを受け、新たな委託先としてベトナムへの移行が進んでいます。
これまでオフショア開発といえば、主に受託開発を主軸とするSIer(システムインテグレーター)が取り組むものと考えられてきました。しかし近年では、自社サービスを展開するIT企業だけでなく、非IT企業においてもオフショア開発を活用する動きが広がっています。このように、多様な企業がオフショア開発に取り組むようになった現象を、オフショア開発.comでは「オフショア開発の一般化」と呼んでいます。
「オフショア開発の一般化」は、ここ数年でオフショア開発を取り巻く状況が大きく変化していることが背景にあります。そこで今回は「オフショア開発の一般化」の現状やその背景について詳しく解説します。
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オフショア開発を活用する企業情報からみる現状
本サービス「オフショア開発.com」に寄せられる相談を集計した結果が下記の図です。
IT業からの相談が約58%と最も多い一方で、メーカーやサービス業など、幅広い業界からオフショア開発の相談がきています。
特にメーカーは前年が13%でしたが、21%までに増加しております。
オフショア開発は、受託開発を主事業とするSIer(ITベンダー)が取り組むもの、と思われている方もいるかもしれませんが、近年では「メーカー」「サービス業」といった業界でのオフショア活用が進んでいるのです。
* 出典:「オフショア開発白書(2024年版)」
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オフショア開発の活用形態からみる現状
また、オフショア開発の契約形態から見ても、オフショア開発の活用が進んでいることが伺えます。オフショア開発には主に「負契約」と「ラボ契約(ラボ型開発)」という2つの契約形態があります。
詳しくは下記の表にまとめてますので、ご覧いただければと思いますが、請負契約は《成果物に対する契約》で、ラボ契約は《作業要員(人)と期間に対する契約》です。
請負契約 | ラボ契約 | |
---|---|---|
概要 | 成果物に対する契約 | 作業要員(人)× 期間 に対する契約 |
メリット |
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デメリット |
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ラボ契約は発注側が担うマネジメントの役割が大きく、うまく発注側でマネジメントできずにプロジェクトが失敗してしまうケースも少なくありません。そのため、オフショア開発を導入していく際には、まずは請負でスタートして徐々にラボ型に移行していくのがセオリーとなってきています。
実はこのラボ契約でのオフショア開発もSIerに限らず、あらゆる企業で活用が広まっています。
2021年ではラボ型は32%だったのですが、2024年にはラボ型は49%と増加しています。
オフショア開発の導入期(請負)から、継続的な活用期(ラボ)にシフトしつつあり、今後ますますオフショア開発の活用が進んでいくでしょう。
* 出典:「オフショア開発白書(2024年版)」
オフショア開発の予算からみる現状
オフショア開発の予算割合の表です。
2024年は、1億円以上の規模での開発がボリュームゾーンとなっております
オフショア開発は「コスト削減」が大きな目的でしたが、近年は「リソース確保」へとトレンド転換したと言えます。
2022年 | 2023年 | 2024年 | |
---|---|---|---|
未定 | 1% | 28% | 21% |
300万円以下 | 77% | 29% | 0% |
300万~500万円 | 14% | 11% | 2% |
500万~1,000万円 | 8% | 19% | 8% |
1,000万~2,000万円 | 11% | 10% | |
2,000万~5,000万円 | 3% | 16% | |
5000万~1億円 | 8% | ||
1億円以上 | 35% |
* 出典:「オフショア開発白書(2024年版)」
オフショア開発の目的の多様化
オフショア開発の予算で、1億円以上の規模での開発が増加とお伝えした通り、オフショア開発のニーズは「コスト削減」から「リソース確保」へ移り変わって来ています。
以下の表は、オフショア開発を委託する企業に対し、オフショア開発の目的をアンケート調査した結果をまとめたものです。
なんと「コスト削減」ではなく、「開発リソースの確保」という回答が最も多いのです。
実は、日本国内のIT人材が不足していることが、オフショア開発一般化の大きな背景につながっています。2019年の「IT人材需給に関する調査」(経済産業省・みずほ情報総研株式会社)によると、国内のIT人材は今後も増加していくことが予想されています。
* 出典:「IT人材需給に関する調査」(経済産業省・みずほ情報総研株式会社)」
しかしIT市場の成長に伴い、IT需要も大きいため、需要と供給のギャップが広がってしまっています。2018年の段階で、従来型IT人材は20万人が不足しており、AI・ビッグデータ・IoTといった先端IT人材は2万人が不足し、将来的にもギャップが広がることが見込まれます。
* 出典:「IT人材需給に関する調査」(経済産業省・みずほ情報総研株式会社)」
とはいえ…DX(デジタルトランスフォーメーション)の重要性が叫ばれて久しく、また、世界的にIT市場が急成長・急拡大している中、IT人材の確保は日本企業にとって必要不可欠なものです。そこで、国内に限らず、最適なIT人材をグローバルに確保していく動きとして、オフショア開発が広く取り組まれているのです。
オフショア開発先の国の現状
あらゆる企業がオフショア開発の活用を始める一方で、受け入れ側の国の現状を見てみましょう。
以下の表は、対日オフショア開発の受け手として主要な6カ国の開発単価をまとめたものです。
人月単価 (万円) | プログラマー | シニアエンジニア | ブリッジSE | PM |
---|---|---|---|---|
ベトナム | 39.4(-2.1%) | 48.3(-1.7%) | 59(+2.1%) | 70(-11.9%) |
フィリピン | 43(+20%) | 55.5(+4.1%) | 73.6(-9.4%) | 78.2(+10.4%) |
中国 | 44.4(-12.1%) | 58.3(-5.6%) | 65(-18%) | 75.3(-18.3%) |
ミャンマー | 26.9(-2.1%) | 41.9(-22.6%) | 55.6(-18.6%) | 66.9(-31.4%) |
バングラデシュ | 35(-20.7%) | 42.5(-7.9%) | 80(-12%) | 75(+28%) |
インド | 53.3(+4.9%) | 61.7(-10.3%) | 69.2(-26.4%) | 77.5(-30.4%) |
* 括弧内は昨年からの変化率
* 出典:「オフショア開発白書(2024年版)」
オフショア開発.comは6,000件を超える相談実績があります。オフショア開発企業を探している方はお気軽にご相談ください。
- 【2024年最新版】ベトナムオフショア開発の人月単価相場はいくら?
- 【2024年最新版】フィリピンオフショア開発の人月単価相場はいくら?
- 【2024年最新版】中国オフショア開発の人月単価相場はいくら?
- 【2024年最新版】ミャンマーオフショア開発の人月単価相場はいくら?
- 【2024年最新版】バングラデシュオフショア開発の人月単価相場はいくら?
- 【2024年最新版】インドオフショア開発の人月単価相場はいくら?
国内リソース不足により、オフショア開発は不可逆な流れに
オフショア開発における現地の人件費が上昇しているにもかかわらず、その活用はますます進んでいます。その背景には、国内でのIT人材の確保が限界に近づいているという現状があります。上述の「IT人材需給に関する調査」にもあるように、日本国内で必要なIT人材を十分に確保するのが難しい状況になりつつあり、企業はオフショア開発を選択肢に入れざるを得なくなっています。
では、「いつから」オフショア開発に取り組むべきなのでしょうか?
オフショア開発を成功に導くためには、ノウハウや経験の蓄積が非常に重要です。そのため、可能な限り早い段階で、小規模からでもオフショア開発に挑戦することをおすすめします。
さらに、オフショア現地でも、今後のグローバルなIT需要の増加に伴い、優秀な人材を巡る競争が激化していくことが予想されます。特に、ジョブホッピング文化が根付いている国では、人材の流動性が高く、優秀な人材を確保する難易度がますます上がる可能性があります。早期に取り組むことで、競争優位を築くチャンスをつかむことができるでしょう。
オフショア開発のサポートサービスについて
「オフショア開発.com」では、専門のコンサルタントによる無料相談を提供しています。「各国の特徴や単価を比較したい」「適切なオフショア開発企業の選び方を知りたい」といったお悩みやご質問にお応えします。
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オフショア開発に関するあらゆるサポートを提供していますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。