公開日:2022/10/19 最終更新日:2023/08/23

オフショア開発の検討と活用が加速する!ベトナム現地視察レポート

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2022年現在、新型コロナウイルス感染症による影響も落ち着いてきて、オフラインでのビジネス活動も再開しつつあるのではないでしょうか?オフショア開発の検討・活用においても、実際に開発拠点がある海外現地を訪問視察する企業の方が増えてきました。

 

委託先として人気が高いベトナムでは、2022年3月15日から日本を含めた13カ国を対象にビザ免除措置が再開されました。フィリピンに関しても、2022年4月1日より同様に現地滞在が可能となっており、いずれもワクチン接種者であれば入国後検査や隔離措置なしで現地を視察することが可能になっています。

 

実際に、オフショア開発. comでも2022年4月にベトナム・フィリピンのオフショア開発企業への現地視察を希望される企業様向けに、視察ツアーをアレンジさせていただく機会がございました。

 

また先日、オフショア開発. comとしてもベトナム視察に出張してきましたので、本記事ではベトナムでの現地視察について紹介させていただきます!オフショア開発の検討や活用推進をされている方で、ベトナム現地視察を検討されている方の参考になりましたら幸いです。

INDEX

1. 現地視察の目的とポイント

2. 現地視察によって得られるメリット

3. ベトナム現地視察のモデルケース紹介

4. オフショア開発の現地視察を検討する方へ

5. オフショア開発の現地視察に関する動向

現地視察の目的とポイント

現地視察の目的ですが、大きく以下の2つに大別できるかと思います。

 

目的A:新規パートナー(新規委託先)の検討

目的B:オフショア委託先のマネジメントやチームビルディング等の環境構築

 

それぞれによって、現地視察の意義やポイントが変わってきますので、それぞれ見ていきましょう。

 

|目的A:新規パートナー(新規委託先)の検討

 

オフショア開発. comとしては、現時点で委託中のプロジェクトなどはありませんでしたので、この目的Aの感覚で今回の視察に臨みました。

 

視察スケジュールに関しては、もし1都市のみ(ホーチミンのみ、ハノイのみ、等)であれば、2〜3日程度でも目的を達成するには十分な期間となります。複数都市を訪問するのであれば、プラス1-2日は日程を確保した方が、ゆとりを持って視察することができるでしょう。

 

オフショア開発企業と一言でいっても様々なタイプの会社があります。分かりやすいところだと、日系・ローカル系・外資系といった具合で、それぞれ少しずつ特徴も異なります。幅広く検討したい場合は、ぜひそれぞれ訪問してみると自社に合った企業のイメージがまとまってくるかと思います。

 

また、事前に委託先に求める要件などを整理しておくと、より充実した視察を組むことができるかと思います。あらかじめ自社にフィットしてそうな企業に関しては、長めにアポイント時間を設定することをお勧めします。

 

現地視察だけの大きなメリットとして、実際の開発環境の様子を隅々まで見ることができたり、そこで働いているエンジニアの方々と生のコミュニケーションができることが挙げられます。

 

ブリッジSEとのディスカッションや細かな取り組み(品質管理・セキュリティ・離職防止など)、オフィス・開発環境などについて、委託前に把握しておくことで、より具体的にオフショア開発導入のイメージをつかむことができて、うまくリスクに備えることができるでしょう。

 

|目的B:オフショア委託先のマネジメントやチームビルディング等の環境構築

 

すでにオフショア開発を委託している場合でも、現地視察は重要なものです。

 

まずオフショア開発導入以降、その習熟に応じて、オフショアの活用の仕方も変化してくる場合が多いかと思います。

 

単発請負プロジェクトでの短期オフショア活用(請負型)から始まり、継続的開発プロジェクトでのオフショアチーム活用(アジャイルラボ型)へと移行していき、複数プロジェクトでの中期的オフショアチーム活用へとシフトしていくにつれ、オフショアの利用価値が高まっていきます。

 

そうしたプロセスのなかでは、チームビルディングが非常に重要になっていきます。開発に関する認識合わせや、開発に携わるエンジニアが自由に意見できる環境構築が非常に重要で、オンラインで実施するにはやはり限界があります。実際に現地視察を通して、開発チームと関わることが、活発なディスカッションができる環境構築に繋がりますので、ぜひ中長期的な成功に向けて取り組んでいただければと思います。

現地視察によって得られるメリット

現地視察によって得られるメリットとしては、主に次のようなものがあります。

 

・経済状況や人材状況、文化・商習慣、社会インフラなど現地の基本的な情報を直接得ることができ、オフショア開発国の特徴をリアルに理解することができる。

・複数のオフショア企業を訪問することで、自社に本当に合うオフショア開発企業を見つけることができる

・現地人材と交流することで、コミュニケーションレべルを確認しプロジェクト開始後のイメージを掴むことができる

・開発環境のセキュリティ対策、就業環境、開発プロセス、品質や教育に関する取り組みを理解し、事前準備やリスクに備えることができる

・実際にプロジェクトに関わるメンバー(ブリッジSEだけでなく、技術者、テスターを含む)とのチームビルディングを行うことでチーム全員の業務理解やモチベーションを向上することができる

・…など

 

オフショアを導入・活用していく上では、品質やセキュリティ、教育、技術力など様々な不安や課題もあるかと思います。

 

オフショアを活用していくイメージを具体化していくことは、リスクヘッジにも繋がります。現地視察の実施は、必要な前準備や活用を進める上でのプロセスへの理解を深めるためにも有効な選択肢の一つです。

ベトナム現地視察のモデルケース紹介

さて、ここでは先日、オフショア開発. comがベトナム訪問をした際の視察スケジュールをモデルケースとして紹介いたします。

 

訪問先はホーチミンの1都市で、2泊3日の旅程で現地を視察していきました。以下が実際の旅程表となります。

 

ベトナム現地視察スケジュール表

 

それぞれの訪問先で実施したことやヒアリングしたことについて、簡単にみていきましょう。

 

 

|IDS Vietnam【日系オフショア開発企業】

 

IDS Vietnamの現地イメージ画像

 

株式会社アイディーエス社(本社:東京港区)のベトナム開発拠点であるIDS Vietnamでは、開発プロセスや教育・品質への取り組み、主要プロジェクトに関する説明、若手ITエンジニアへのインタビューを行いました。

 

同社は日系オフショア開発企業として、オフショア開発の壁を乗り越えるための支援を手厚く提供しています。国内のIT人材不足が大きな課題となる中、多くの企業がオフショアを選択肢の一つとして検討していますが、そこには文化・商習慣・心理的ハードルなどの壁があることが少なくありません。元々ボストンコンサルティング出身の代表が立ち上げた会社ということもあり、顧客の課題解決と成功にフォーカスしているとのこと。

 

例えば、開発領域だけではなく、DR(デザインレビュー)やBCPを考慮した運用回りなども、日本人プロジェクトコーディネーターがサポート。プロセス構築や標準化、オフショアを活用した内製化支援にも注力しているようです。

 

仕様が明確なウォーターフォール型の開発から、新規事業で要件が不明瞭なものをアジャイルで進める開発まで、支援実績も幅広く、今後はさらに対応領域を広げるためにR&Dにも積極的に取り組んでいました。

* IDS Vietnam:https://sma-labo.jp/

 

 

|Splus Software【ローカル系オフショア開発企業】

 

Splus Softwareのオフィスイメージ画像

 

Splus Softwareはローカル系のオフショア開発企業です。創業者はベトナム最大手であるFPTで日本向けのPMとして従事した経歴。そのため、同社も日本の開発案件をメインに事業を展開しています。

 

ローカル系のオフショア開発企業といえども、日本での長期滞在経験があるエンジニアが多数在籍していたり、大手SIerで管理職だった日本人エンジニアが管理しているようで、日本語でのコミュニケーションやプロジェクトの管理には力を入れていることがうかがえました。

 

またコスト面に関しては、間接費を低減することで人月単価25万円(固定)という、かなりの低価格を実現していました。日系に比べ、コストが抑えられる傾向にあるローカル系ですが、この価格はローカル系ベンダの中でもかなり安い水準です。ただ、現状は下流工程からのプロジェクトが多いようで、これから上流領域も取り組みを強化していくとのこと。

 

オフショア開発企業も日系・ローカル系でそれぞれ視察してみると、さまざまな特徴の違いが見えてきますね。

* Splus Software:https://splus-software.co.jp/

 

|JETRO Vietnam

 

JETRO Vietnamでは、ベトナムの主な経済状況について、業種業界を問わず広くレクチャーいただきました。政治、貿易額や投資額、賃金推移、日系企業の進出動向など多様な観点から説明していただき、ベトナム現地の状況を包括的に理解することができます。

 

ベトナムのGDP成長率は5年間で平均6.5〜7%と高水準で、コロナの影響が大きかった2020年もASEAN諸国で唯一プラスで経済成長しています。一方で現地の人件費も上昇傾向にあり、毎年5-6%ほどは賃金が上昇している模様。コストメリットが一つの目的であるオフショア開発においては、ベトナムの立ち位置の変化を改めて感じます。人口も増加傾向にあり、IT系の大学卒業者も毎年5万人ほどいるようですが、IT系外資企業のベトナム進出も近年増加しており、人材採用も少しずつ難しくなっていくかもしれません。

 

実は、かつては日本からの投資が最も多かったのですが、近年は2009年のサムスン進出を皮切りに韓国系企業からの投資が集まっております。そのほか、台湾やシンガポール等もベトナムへの投資を強めており、日本のプレゼンスは相対的に下がっているようです。オフショア開発に限らず、ビジネスパートナーとしてベトナムを見るときに、かつてとは状況が変わってきていることを改めて認識する必要がありそうです。

* JETRO Vietnam:https://www.jetro.go.jp/vietnam/

 

|ホーチミン自然科学大学

 

ホーチミン自然科学大学のキャンパスイメージ画像

 

ホーチミン自然科学大学は1941年に設立された、ホーチミンの主要な理系大学です。専門領域は生物学、化学、電子および通信、環境、地質学、情報技術(IT)、数学およびコンピュータサイエンス、材料科学、海洋学、物理学などがあります。

 

学生数は約14000名で、うち9%ほどが大学院へ進学しているようです。大学院へ進学する人は、もちろん卒業後に就職する層も一定数いますが、さらに海外の大学へと進学し博士課程・研究職を目指す人も少なくないとか。

 

実際に在籍している学生の方に話を聞いてみると、情報技術(IT)や物理といった専攻が特に人気となっており、その背景としては海外での就職、あるいは、外資系企業での就職に繋がりやすいのもあるようです。

 

特に印象的だったのが、工学部の研究室を見学させてもらった際…ドローンやロボットがいくつも並んでおり、それらは学生だけで作り上げたとのこと。その基盤は3Dプリンターで製作しているようで、その3Dプリンター自体も学生が作ったというので、とても驚きました。

* ホーチミン自然科学大学:https://www.hcmus.edu.vn/

オフショア開発の現地視察を検討する方へ

現在、海外への渡航も比較的しやすくなってきたこともあり、「現地視察ツアー」を企画するオフショア開発企業も増えてきています。

 

そのなかで、充実のサポート体制で視察ツアーを提供しているのが「株式会社アイディーエス」です。同社開発拠点の視察訪問はもちろん、現地大学への視察やエンジニア(ブリッジSE)とのコミュニケーション、その他ホーチミン市内視察アテンド等、細かな要望に柔軟に対応した現地視察を提供しています。

 

また、視察に参加した上で契約した場合、視察費用相当(15万円程度)を初回契約より割引するキャンペーンも実施しており、これから新規パートナーを検討している企業の方に非常にお勧めです!

 

 

|株式会社アイディーエス(スマラボ)

アイディーエスが提供するオフショア開発サービス「スマラボ」は、日本とベトナムに拠点を持つことで、日本企業にとって最適なハイブリッド型オフショア開発サービスを提供しており、お客様のデジタルトランスフォーメーションを実現する上でのパートナーとして、開発プロジェクト運営まで、クラウド導入、デザインまで、ワンストップでWebサービスの開発を支援しています。

特に、オフショア開発において難易度が高いプロジェクト運営や品質管理に関してノウハウを持ち、これまでオフショア開発に失敗した企業においても、再度オフショア開発に取り組めるよう体制・プロセス・仕組みを標準化し、お客様のDXパートナーとしてオフショア開発を支援しています。

Webサービスの開発/業務システムの開発を中心に、PHP/Java/Python/AWSなどの技術要素を活用しながら、お客様の様々なニーズに答えています。

オフショア開発の現地視察に関する動向

この数年、日本国内のIT人材不足の問題がいたるところで取り上げられています。

かねてから言われるDX推進はもちろん、急速に変化するビジネス環境への対応、コロナを受けてのオンライン化の波など、IT需要が急速に高まる一方で、IT人材不足の課題が重くのしかかっています。

 

そこで注目を集めるのが「オフショア開発」で、なかでも今最も人気といっていいのがベトナムです。多くの企業がオフショア活用の検討を進めるなかで、ここ2年間はベトナムへの渡航も難しく、オンラインのみでの検討を進めていた企業も少なくないように思います。

 

ですが、上述の通り2022年10月現在、オフショア開発先として人気を集めるベトナムでは入国規制が緩和(*1)され、入国後すぐに現地を視察してまわることができるようになりました。

*1:ベトナム以外の国では状況は異なります。また今後、規制の内容が変更になる可能性もありますので、ご検討の際には最新情報をご確認ください。

 

日本帰国においても、有効なワクチン接種証明書(指定ワクチンによる3回接種が完了していること等が条件)があれば、出国前検査・入国時PCR検査・入国後の待機期間はいずれも不要(*2)となります。「ファストトラック」を利用して事前に手続きを済ませておけば、アプリの管理画面を提示するだけで手続きが完了しますので、コロナ以前と大きく変わらない感覚です。

*2:最新情報は【外務省のHP】よりご確認ください。

 

ベトナムから日本への入国に関しては、分かりやすいように以下に図表にまとめてみましたので、ご参考ください。

図表「ベトナムから日本への入国手続き」

 

これまで現地にいくことができずに検討が止まってしまっていた方もいるかと思いますが、遂に現地の様子を直接見てまわることができるようになりました。ぜひ現地視察も視野にいれながら、積極的にオフショア活用についての検討を進めていただければと思います。

まとめ

オフショア開発. comのベトナム視察レポートですが、いかがでしたでしょうか?オフショアを導入・活用していく上では、品質やセキュリティ、教育、技術力など様々な不安や課題もあるかと思います。オフショアを活用していくイメージを具体化していくことは、リスクヘッジにも繋がります。現地視察の実施は、必要な前準備や活用を進める上でのプロセスへの理解を深めるためにも有効な選択肢の一つですので、ぜひ検討していただければと思います。

 

「オフショア開発. com」では、専門コンシェルジュに海外へのアウトソースについて、無料で相談することができます。「システム運用を海外に任せたい」「国別の特徴や単価について比較検討したい」「海外に任せる際の選定方法について聞きたい」…など、さまざまなお悩みやご質問・ご相談にお応えいたします。現地視察に関しても、ぜひご相談ください!

 

「オフショア開発. com」は、多数のオフショア開発企業とパートナー契約を結んでおります。御社にぴったりのオフショア開発企業をご紹介することもできますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

この記事を書いた人

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オフショア開発.com 編集部

日本最大級の「オフショア開発」専門の発注先選定支援サービスとして、オフショア開発に関するご相談やお問合せを日々、承っております。


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