公開日:2022/01/31 最終更新日:2023/09/06
プロジェクトマネジメントとは?求められるスキル、PM手法、ツール、資格
IT企業が育成していきたい人材としてプロジェクトマネージャーが上位に上がるなど、近年、プロジェクトマネジメントの重要性に注目が集まっています。
このテキストでは、プロジェクトマネジメントの基礎知識としてプロジェクトマネジメントがなぜ必要かなどを解説し、プロジェクトマネジメントに必要なスキルやマネジメント手法、便利なツールなどをご紹介し、オフショア開発におけるプロジェクトマネジメントにも焦点を当てていきます。
INDEX
1. プロジェクトマネジメントの基礎知識
2. プロジェクトマネジメントに求められるスキル
3. プロジェクトマネジメント手法を紹介
4. プロジェクトマネジメントツールを紹介
5. オフショア開発のプロジェクトマネジメント
6. まとめ
プロジェクトマネジメントの基礎知識
まずはプロジェクトマネジメントとは何か、その必要性などについて理解を深めておきましょう。
■ プロジェクトマネジメントとは?
プロジェクトマネジメントとは、「プロジェクトをマネジメントすること=プロジェクトを成功させるために行う管理活動」のことです。具体的な管理業務としては費用の見積りや人員配置、進捗やタスクの管理など多岐にわたります。
アメリカの非営利団体であるPMIが1987年に策定した「PMBOK(Project Management Body of Knowledge)」はプロジェクトマネジメントのノウハウや手法を体系化したもので、これがプロジェクトマネジメントの世界標準となっています。
■ プロジェクトマネジメントはなぜ必要か?
世の中にはさまざまなプロジェクトがありますが、どのプロジェクトにも目的や目標と、それを実行するための予算や納期があります。全てがスケジュール通り、予算通りに行くのが理想ではありますが、なかなかそうはいかないのが現実です。
もし、プロジェクトを行き当たりばったりで進めていたら、どうなるでしょう?スケジュールや予算など、全てが狂ってしまいます。たとえ綿密な計画を立てていたとしても、思いも寄らないトラブルは起きるもの。プロジェクトを成功に導くためには、舵をとって進めていく人材がどうしても必要となります。
プロジェクトを進める際にさまざまなリスクについて前もって対処法などを考えておき、全体を見ながら進捗などを管理するプロジェクトマネジメントは、プロジェクトにとってなくてはならないものなのです。
■ プロジェクトマネジメントを担うPM、PMOとは?
プロジェクトをマネジメントする人材を「プロジェクトマネージャー」と言います。PMやプロマネと略されることが多いですね。
PMOとは「プロジェクトマネジメントオフィス」を略した言葉で、プロジェクトマネジメントを行う部門のことを言います。プロジェクトマネージャー、PMとの違いは、PMは個人、PMOは部署であるだけでなく、PMOはPMを援護する存在であるということです。
PMはプロジェクト全体を統括しますが、プロジェクトが大きければ大きいほど、一人で細かいところまで管理するのは難しくなります。そこで、PMOの登場です。チームとしてPMをサポートし、現場の進捗などを管理します。
プロジェクトマネジメントに求められるスキル
プロジェクトマネジメント、PMに求められるスキルは多岐にわたります。
■ プロジェクト全体の管理
プロジェクトマネジメントはスケジュールや予算、人員など、全体をまとめてプロジェクトを成功に導く仕事です。まずはプロジェクト全体を俯瞰的に見る力が求められます。
全体的に見て、人員が足りていないのはどこの部門なのか、スケジュール通りに進んでいる部門とそうでない部門はどこなのか、プロジェクトを成功に導くために全体像を把握し、大局的に見る視点が必要です。
■ 問題解決
プロジェクトを進める上で、問題が起きないということは残念ながらありません。何らかのトラブルが起きたときに、それを解決するスキルが求められます。予算やスケジュール内でおさまるよう、比較的人員に余裕のある部門から人員が足りていない部門に人材をまわすなど、臨機応変な対応が必要です。
また、前もって起きそうなトラブルを予測しておく、というのも問題解決の一つの方法でしょう。先を見越す力も求められます。
■ コミュニケーション
プロジェクト全体をマネジメントするのですから、プロジェクトチームのメンバーとコミュニケーションが取れなければお話になりません。もちろん社内のメンバーだけでなく、外注先や取引先とコミュニケーションを取ることも。
幅広い分野のさまざまな人々とコミュニケーションをし、多くの調整を行うのもプロジェクトマネジメントの重要な役割です。
■ ビジネス知識・理解力
ビジネス全般の知識と経験もプロジェクトマネジメントに求められるスキルの一つです。システム開発を行うのにシステムに関する知識がなければマネジメントを行うのはなかなか難しいため、プロジェクトに関連する幅広い知識が必要です。
業界や組織内の暗黙のルールなどを的確に把握し、それらを習得することでコミュニケーションも円滑に進みます。
■プロジェクトマネジメントの資格
プロジェクトマネジメントを行うために必ずしも資格は必要ありませんが、IPAが行うプロジェクトマネージャー試験というものがあります。
試験は年一回の開催で、合格すれば国家資格を得られるので、PMとしての資格を持っているということをわかりやすくアピールする手段の一つになります。
プロジェクトマネジメント手法を紹介
プロジェクトマネジメントには、多くの手法があります。PMなら必ずおさえておきたい代表的なプロジェクトマネジメント手法を5つご紹介します。
■ ガントチャート
生産管理にも用いられる工程管理表の一種がガントチャートです。アメリカの機械工学者だったヘンリー・ガント氏が考案したのでその名がついたのだとか。
プロジェクトの段階を作業単位まで細かく分類し、横軸に日時を置くことで、横に伸びる棒によって各作業の開始期間と終了期間、進捗状況などが視覚的に示されます。タスクを可視化することで情報共有もスムースに行くため、多くのプロジェクトで使われている手法です。
■ WBS
WBSとは「Work Breakdown Structure」の略で、日本語では「作業分解構成図」と訳されます。その名のとおり、作業を分解し、構成した図のことです。
作業を大きく分類したタスクと、それに紐づくツリー状の形で大分類のタスクをさらに分解した中分類のタスク、そこにさらにツリー状に小分類のタスク、という風に書き込んでいきます。
これによって、全作業が洗い出され、作業の抜けや漏れがなくなります。また、作業同士の関連度合いも見やすくなるため、この作業が終わったならこの作業は必要ない、ということがわかるようになります。
■ PERT
PERTとは「Program Evaluation and Review Technique」または「Project Evaluation and Review Technique」の略であり、1958年にアメリカ国防総省からの委託により、コンサルティング会社であるブーズ・アレン・ハミルトン社が弾道ミサイルプロジェクトにおいて発明したもので、大規模なプロジェクトの複雑なスケジュール管理を単純化するために作られました。
PERT において特徴的なのがPERT図と呼ばれる工程図です。アローダイヤグラムと言われる形をしており、プロジェクトのそれぞれの工程から次の工程へと矢印を記載。その矢印に所要時間を記入します。工程ごとがどのようなつながりを持っており、そのつながりによって、ある工程まで辿り着くのにどれだけの時間がかかるのか、が見やすくなっています。
プロジェクトに必要なタスクとそれぞれのタスクの所要時間を分析し、最短のスケジュールを立てるのに向いている工程管理表です。
■ CCPM
CCPMとは「Critical Chain Project Management」の略であり、それぞれのタスクにバッファを設けず、プロジェクト全体でバッファを一元的に管理する手法です。
通常は作業ごとに作業の遅れを見込んでバッファを設けるものですが、それだと実際には不要だったバッファが無駄になってしまいます。プロジェクト全体でバッファをまとめて可視化しておけば、各工程で作業の遅れが生じたとしても全体のバッファがそれを吸収してくれるため、プロジェクト全体に影響が出ることがありません。
遅れを吸収して減った残りのバッファも可視化されるため、全体的な視野でプロジェクトを管理しやすくなります。
■ EVM
EVMとは「Earned Value Management」の略。プロジェクト全体の進捗をコストとして換算する手法です。スケジュールに遅延はなくてもコストが超過してしまった、という失敗は意外と多いもの。コストに視点をあてて管理するEVMなら、その心配がなくなります。
EVMでは計画していた予算の中で、ある時点までに完了しておくべき作業にかかるコスト(PV)と、実際にその時点までに完了した工程の予算コスト(EV)を比べ、計画時点と実際にかかったスケジュールの差異を出すことができます。また、実際に発生したコスト(AC)と比べることで、予算を超過していないかも算出することが可能です。
プロジェクトマネジメントツールを紹介
先に紹介したプロジェクトマネジメントの手法は、それぞれに図を簡単に作成できるツールも用意されています。ビジネスを効率化するためにツールを使うのはもはや当たり前のことですが、プロジェクトの管理にも役立つさまざまなツールをご紹介します。
■ Redmine
オープンソースのツールであり、完全無料で利用できるのが「Redmine」です。プラグインも多数用意されており、さまざまなケースに対応できます。手法として前項でご紹介したガントチャートも自動作成が可能です。
無料であること、世界中で使われておりプラグインも充実しているのがメリットですが、ITに明るくない人には少しUIがわかりづらいのがデメリットかもしれません。
■ Backlog
福岡に本社を持ち、世界各地に支社を持つヌーラボ社が提供しているプロジェクト管理ツールが「Backlog」です。国産ツールとしても比較的老舗であり、安心感があります。
タスク管理と情報共有に重きを置き、柔らかな色使いとわかりやすいU Iが特徴。無料プランは1プロジェクト10人までとなっており、複数のプロジェクトやさらに大人数で使えるプランは月額2,640円からとなっています。
■ Trello
視覚的にプロジェクトを管理できるツールとして、世界中のユーザーに愛用されているAtlassian社の「Trello」。タスクをカードとして扱い、そのカードを付箋のように自由に移動させることができます。
コマンド実行数などに制限がありますが、基本的な機能は無料で利用可能。有料プランも使いたい機能に合わせて3種類選ぶことができます。
■ Jira
Trelloと同じくAtlassian社が提供している「Jira Software」は、アジャイル開発に親和性の高いプロジェクト管理ツールです。
スクラムボードとカンバンボードという2種類のボードがあり、スクラムボードは「スプリントで開発企画を行うチーム」カンバンボードは「進行中の作業を管理・強制することに重きを置くチーム」にそれぞれ向いています。
10名まで使える無料プランが用意されており、1ユーザーあたり月額900円で使えるStandardプランなど、有料プランも。
※アジャイル開発とは?
アジャイル開発とは、開発する機能を細かく分類し、スプリントやイテレーションと呼ばれる、機能ごとに設定された短い開発期間を繰り返すことで一つ一つの機能を開発していくという開発手法群の総称です。
アジャイル開発について詳しく知りたい方は、下記のテキストも参考になります。
* 参考:『アジャイル開発とは?|適したプロジェクトと契約形態も解説』
■ Asana
タスク管理を重視したプロジェクト管理ツール「Asana」。小さなタスクも大きなタスクも、プロジェクト全体の業務を整理することができます。連携可能なツールが200を超えており、ZoomやSlack、GoogleカレンダーやOffice365など、今お使いのさまざまなツールやアプリと簡単に連携できるので、導入のしやすさも魅力です。
無料プランは15名までではありますが、タスクやプロジェクト数に制限がないのが嬉しいツールです。
オフショア開発のプロジェクトマネジメント
コスト削減や人材不足の解消を目的として、オフショア開発を進めている企業が近年増えています。オフショア開発でより重視すべきプロジェクトマネジメントのポイントや、国内開発との違いはあるのでしょうか。
■ タスクやスケジュールを可視化する
オフショア開発は、商習慣や言語が異なるメンバーと開発を進めることになるので、国内開発以上のコミュニケーションを求められるとよく言われます。言語が異なる相手とコミュニケーションを取るのに役立つのが、タスクやスケジュールの可視化です。
先に紹介したツールなどを利用してタスクやスケジュールをわかりやすく共有できれば、オフショア開発をさらにスムースに進めることができます。多言語対応しているツールを使えば、そういったものを使うとよりコミュニケーションが円滑になるでしょう。
■ コミュニケーションにおけるルール設定
文化の違う相手と同じプロジェクトを進めるのであれば、まずは報告のタイミングや手法、ミーティングの日時などを前もって決めておき、定期的にコミュニケーションをとることができるようにしておきましょう。トラブルが起きた際の連絡についても決めておきます。
その際もツールなどで可視化された情報を使えば、情報共有に余計な時間を割かず、効率的に行うことができます。
まとめ
今後、国内のIT人材が40-80万人も不足する(* 2030年問題)と言われるなか、プロジェクトマネージャーの育成・確保に多くの企業が躍起になっています。プロジェクトの目標、予算、スケジュールなど、それらをうまく管理し、プロジェクトを成功に導くことには、多くのスキルと経験が求められます。
特にオフショア開発となると、海外のエンジニアとチームを構成し、プロジェクトを進めていくことになり、国内開発に比べ難易度は高いです。少しでも本テキストの内容を参考にしていただけますと幸いです。
また、近年では「リソース不足が課題で、オフショア開発を検討しているが、プロジェクトをマネジメントできる人材もいない・・・」といった企業に向け、プロジェクトマネジメントから支援が可能なオフショア開発企業や、プロジェクトマネージャーの育成まで手がけるようなオフショア開発企業まで登場しています。
「オフショア開発. com」は、多数のオフショア開発企業とパートナー契約を結んでおります。御社にぴったりのオフショア開発企業を無料でご紹介することもできますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
この記事を書いた人
企業選定にお困りでしたら、オフショア開発. comの専門スタッフが無料相談を受け付けていますので、お気軽にご利用ください。
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