NFT(非代替性トークン)とは?ブロックチェーンとの関連や活用事例

公開日:2022/01/31 最終更新日:2023/09/07

NFT(非代替性トークン)とは?ブロックチェーンとの関連や活用事例紹介

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近年、にわかに注目を集めるようになった「NFT」。これまで容易にコピーできていたデジタル作品を唯一無二のものであると証明できるものであり、2021年から急激に取引量が増えています。NFTバブルとも言われる今、本テキストでは新しい概念であるNFTについてわかりやすく解説していきます。

NFTとは何か、なぜ注目されているのか、メリットデメリットなど、NFTの基礎知識について理解を深めていきましょう。

INDEX

1. NFTとは?

2. NFTはなぜ注目されている??

3. NFTのメリット / デメリット(リスク)

4. NFTはどのように活用されている?|分野別活用事例

5. NFTの将来性は?今後の見通し

NFTとは?

NFTとは「Non Fungible Token」の頭文字を取った言葉であり、非代替性トークンと訳されます。

 

トークンとは英語で「象徴」「しるし」「記号」「記念品」といった意味のある言葉ですが、ブロックチェーン技術におけるトークンとは特定の主体が取引相手に対して発行するデジタルの証券のようなものであり、ブロックチェーンによって所有者の確認や証明が可能となります。

 

NFTはブロックチェーン上に記録されている代替不可能なデータ単位であり、これを関連づけたデジタル資産やライセンスは売買することが可能で、かつ代替不可能であることから、これまでは容易にコピーされていたデジタル作品を一点ものとして売買することができるのです。

 

■ NFTの技術的な特性

 

NFTの特性は大きく分けて「唯一性」「取引の安全性」「相互性」「プログラム可能性」の4つです。

 

・唯一性

 

非代替性トークンにより、他のデジタルデータと異なることが判別可能となるため、デジタルデータが唯一無二であることを証明できます。それによりデータが資産価値を有します。

 

・取引の安全性

 

データが資産価値を有し、所有者や固有性が明確であれば、それを売買することができます。ブロックチェーンの技術を利用した取引は安全性が高いため安心です。

 

・相互性

 

NFTには共通規格があるため、複数のプラットフォームをまたいで利用することが可能です。一つのプラットフォームに依存していた場合はプラットフォームがなくなった時に利用できなくなるリスクがありますが、複数のプラットフォームで利用できると安心ですよね。将来的には全てのプラットフォームでの利用を可能にすることを目指しているのだとか。

 

・プログラム可能性

 

NFTは「スマートコントラクト」を用いてさまざまな条件で設計を行うことができます。「スマートコントラクト」とは「ブロックチェーン上の契約の自動化を行う仕組み」のことですが、これを利用することにより、取引数の制限や、二次流通以降の取引においても、原作者に収益を還元するという設計も可能です。

 

■ 仮想通貨とNFTの違い

 

ブロックチェーンと言えば仮想通貨をイメージする方が多いでしょう。ブロックチェーン上のデジタルデータという点においては、仮想通貨もNFTも同じですが、この2つには明確な違いがあります。

 

現実の通貨がそうであるように、仮想通貨には代替性があります。例えば自分が持っている1000円札も他人が持っている1000円札も価値は同じ、つまり通貨には代替性がありますが、ピカソの「ゲルニカ」やレオナルド・ダ・ヴィンチの「モナ・リザ」は世界に一つだけの絵画であり、こういった1点ものの芸術品には代替性がありません。これと同じことがNFTによってできるようになります。

 

NFTの登場で、コピーが容易だったデジタル作品を代替不可能なものとし、資産価値を付与することができる時代が来たのです。

NFTはなぜ注目されている??

2021年から急激にNFT取引量が増えたことを冒頭でお伝えしたとおり、NFTへの注目度は非常に高まっており、この状況はNFTバブルと言われています。にわかに注目が集まったように見えるNFTですが、この項ではその登場の歴史や市場について解説します。

 

■ NFTの登場

 

NFTの始まりは、2014年にケヴィン・マッコイ(Kevin McCOY)氏が作った「Quantum」という作品だと言われています。当時はNFTという言葉はまだなく、NFTの試作品のようなものを作る人々が数名いた、という状況だったようです。

 

最初のNFTプロジェクト「Etheria」は2015年10月に立ち上げられたもので、ロンドンで開催されたデベロッパー・カンファレンスで売りに出された作品は、当時はあまり売れなかったようです。この頃もまだ「NFT」という言葉は登場していません。

 

2017年、複数のNFTプロジェクトが立ち上がった後に「NFT」という言葉が登場。ここからNFTへの注目度はどんどん上がっていきます。

 

2017年にリリースされたNFT技術を利用したゲーム「CryptoKitties(クリプトキティーズ)」では、ゲーム内で育成した猫が10万ドルで売れたといった事例も。

 

ナイキは店舗で購入したスニーカーのバーチャル版をNFT化するというシステムの特許を2019年に取得しています。

 

NFT市場は2020年から2021年3月にかけて投資家の間で大きく盛り上がり、2021年4月には需要も落ち着いて価格も下落傾向となりましたが、一般的な認知度が上がり、多くの有名アーティストがNFTを活用して話題となったのは2021年のことです。

 

■ NFT市場の盛り上がり

 

2021年、NFT市場がこれほどまでに盛り上がるきっかけを作ったのは、250年以上の歴史ある老舗オークションハウスChristie’sでNFTアート「Everydays – The First 5000 Days」が約75億円の高値で落札されたことだと言われています。マイク・ウィンケルマン(Mike Winkelmann)氏はネットではBeeple(ビープル)として知られるデジタルアート作家であり、この作品は氏が毎日描いた数年間のスケッチをコラージュしたものでした。

 

それまで比較的無名の作家であったBeepleの知名度は急上昇。「(存命している中で)最も世界で価値のあるアーティスト」に名を連ねることになりました。

 

アートの話題が多いNFTですが、取り扱われるのはアート作品ばかりではありません。ミニブログ「Twitter」のCEOであるジャック・ドーシー(Jack Dorsey)氏が2006年に投稿した初めてのツイートがNFTとしてオークションに出品。こちらは約3億1500万円の値がつきました。

 

その他のNFT活用事例については後ほどご紹介します。

NFTのメリット / デメリット(リスク)

急激に取引量の増えたNFT。その理由としてさまざまなメリットがあげられます。反面、まだ法整備が行われていないなどのリスクも。NFTのメリット・デメリット(リスク)についても理解を深めておきましょう。

 

■ NFTのメリット

 

NFTの最も大きなメリットは、これまでコピーが容易で資産価値を付与することが難しかったデジタル作品に唯一無二の価値を付与し、かつ保証できることでしょう。

デジタル資産の真贋証明ができるだけでなく、価値の保存もでき、原作者に利益を還元することもできます。

 

また、トークンエコノミーへの影響も忘れてはいけません。トークンによって形成される経済圏をトークンエコノミーと言いますが、NFTの普及によってトさらに発展していくと見られています。

 

■ NFTのデメリット

 

ブロックチェーンによる取引は非常に安全性が高いものですが、所有権を持たない人物が勝手にNFTを作ることができる、という問題もあります。ロシア人作家のアート作品の写真を撮り、NFTを作成して勝手に売る、という事件が起きたことも。リアルアートで同じことをすれば明らかに著作権侵害ですが、現在は残念ながらこういったケースが後を絶たないようです。

ブロックチェーン自体は安全でも、オリジナルがそもそもブロックチェーンに記録されていないと真贋を見極めることができないのです。

今後、法整備が進むと思われますが、現状はこういった問題を完璧にクリアするのは難しいと言えます。

NFTはどのように活用されている?|分野別活用事例

NFTはさまざまな分野で活用されています。この項ではそれぞれの分野別に活用事例をご紹介します。

 

■ アート分野のNFT事例

 

これまでのアート業界のしがらみから抜け出し、資格も年齢も学歴も関係なく、誰でも作品を発表できるのがNFTアートの良さだと語る人もいます。8歳のNFTアーティストも登場しており、これからが楽しみですね。

有名どころではバンクシーの作品がNFT化された後に焼却され、残ったNFTだけが出品された事例も。現物がなくなってもNFTを所有することが可能で、しかも価値も残るという新しい試みとして話題になりました。

 

■ ゲーム業界のNFT事例

 

前述したCryptoKitties以外にも、NBAの選手をトレーディングカードにした「NBA Top Shot」で有名選手のカードが10万ドルで取引されたり、「Axie Infinity」という育成バトルゲームでもキャラクターが高額で取引されたりしています。

 

■ 音楽業界のNFT事例

 

坂本龍一氏は、自身の曲である「Merry Christmas Mr. Lawrence」のメロディーを595音に分割した1音ずつのNFTを1音一万円という固定価格で販売しました。

 

Linkin Parkのマイク・シノダ氏も自身の音楽作品をNFT化し、オークションに出品。1万ドルで落札されました。

 

■ 出版業界のNFT事例

 

アメリカの出版業界では、作家がNFTで新刊の販促を行うという面白い試みがなされました。ゲイリー・ヴェイナチャック(Gary Vaynerchuk)氏は自身の新刊を紙の本で12部購入した人にNFTを1つプレゼント、というキャンペーンを実施。この販促は大当たりし、先行予約で100万部を超えたのだとか。

 

■ スポーツ業界のNFT事例

 

埼玉西武ライオンズは、サイン入りの選手の記念パネルなどをNFTコンテンツ化し販売しています。これは日本プロ野球開発の試みであり、今後、他の球団も参入することが期待されています。

NFTの将来性は?今後の見通し

Googleのクラウド部門であるGoogle cloudは、先ほども紹介した「NBA Top Shot 」の開発元であるカナダのスタートアップDapper Labs社と提携。Dapper Labs社のブロックチェーンであるFlowを支援していくと2021年9月に発表。Web3.0の勝者となるべく、ブロックチェーンへの取り組みを加速しています。

 

投機的に盛り上がりを見せたNFTブームは落ち着きを見せつつありますが、NFTそのものはこれからさらに一般的なものとなり、発展していくと考えられます。

 

前述した通り、アートやゲームだけでなく、出版業界や音楽業界、スポーツ業界などさまざまな業界がNFTへと参入。リアルとデジタル両方の売上アップという相乗効果も見込まれると期待されています。

 

これまで資産価値を付加できなかったさまざまなものに価値を付与できる技術として、今後もNFTはさらなる発展を遂げることでしょう。

まとめ

様々な分野で活用が進み、取引量が急増しているNFT。これから一般化し、普及期に入ることを見越してNFT、ブロックチェーン技術への取り組みを強化している企業も増えております。それはオフショア開発企業においても、例外ではなく、数年前からブロックチェーン領域での受託を拡大している企業も少なくありません。

 

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オフショア開発.com 編集部

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