公開日:2024/02/07 最終更新日:2024/02/07
請負開発とは?メリットとデメリットを詳しく解説!
システム開発には多くの法人や個人がかかわるため、さまざまな契約が締結されます。システム開発の依頼においては請負契約という契約形態が活用されることが多く、請負契約を締結した開発形態を請負開発と言います。
今回はこの『請負開発』について詳しく解説していきます。請負開発の基礎知識やメリット・デメリット、現場で発生する課題や請負開発を選ぶ際のポイントなど、改めてしっかりと確認しておきましょう。
請負開発の基本
冒頭でも少し説明しましたが、請負契約という契約形態で行う開発のこと、もしくは請負契約そのものを『請負開発』『請負型開発』と呼びます。本テキストでは『請負開発』で統一します。
請負開発の定義
『請負』とは、日本の民法において典型契約の一種とされているものであり、発注する側が仕事の完成に対して報酬を支払うことを約束し、受注する側が仕事を完成させることを約束するという契約のことです。『雇用』『委任』と同じように労務供給契約の一種ではありますが、仕事の完成が目的であり、労務の供給がそのための手段であるという点が雇用や委任とは異なります。
この『請負』という契約がなされた開発、またはその開発における契約が『請負開発』です。
もっと簡単に言うと「この日までにこの依頼通りのシステムを作ってね」という発注者側の依頼に対して受注側が仕事を完成させることで報酬が支払われる、という契約形態・開発形態を『請負開発』と言います。
請負開発の歴史と進化
請負契約自体はローマ法の時代からあるものですが、かつては手工業において作られた製品が工場での大量生産時代へと突入し、現代においては有形のものだけでなく無形の製品も登場。請負契約の定義がさらに複雑なものとなっているため、法的なトラブルに発展するケースも。
そのため、厚生労働省は請負に関するガイドライン「労働者派遣・請負を適正に行うためのガイド」を策定しています。
近年はフリーランスという働き方も一般的になっており、社会の変容に伴い、請負開発をはじめとした契約形態も今後進化していくのかもしれません。
請負開発のメリットとデメリット
『仕事の完成』を目的として契約が交わされる『請負開発』には、メリットもあればデメリットもあります。それぞれについて理解を深めておきましょう。
メリット
まずは発注者、受注者それぞれのメリットについて解説します。
・発注者側のメリット
発注側の目線で見た場合のメリットは、受注者側にすべてお任せできるので、管理業務を行う必要がないことが挙げられます。また、採用や研修にかかるコストもおさえられるのが嬉しいところ。仕事の完成が目的なので、成果物の内容をしっかりすり合わせするため、出来上がったシステムに対する認識のずれも発生しにくいのも大きなメリットと言えます。
・受注者側のメリット
受注者側としては、完成まで任されると言うことは発注者側からの指揮命令が発生しないため、業務に集中することができるのが大きなメリットでしょう。業務の効率化をはかることで報酬もアップするのも嬉しいところ。
デメリット
デメリットについても発注者側、受注者側それぞれの目線で確認しておきましょう。
・発注者側のデメリット
仕事の完成が目的となっているので、契約時にシステムの仕様が決定する請負契約では、途中で機能の追加を行いたいと思っても、契約になければ追加することができません。契約後に仕様を変更することが難しいのは大きなデメリットでしょう。
また、依頼した法人や個人の力量によって期待した成果が得られない可能性があることもデメリットの一つです。
・受注者側のデメリット
仕事の完成によって報酬が発生する請負開発は、そもそも依頼内容に問題があるケースだと仕事の完成が難しくなることもあり、大きなトラブルに発生する可能性もあるのが大きなデメリットと言えます。
請負開発(システム開発)の現場で発生する課題
請負契約によって進められる開発の現場においては、仕事の完成をスムーズに実現するために、コスト効率と品質を適切に管理することや、プロジェクトの適切な管理と円滑なコミュニケーションが求められます。
コスト効率と品質管理
仕事の完成によって報酬が発生する請負開発においては、コスト効率と品質管理は必ずおさえておかなければならないポイントであり課題です。
コスト効率と品質の向上は一般的に両立が難しいことではありますが、品質を担保しつつコスト効率を上げるためには常に創意工夫を続けることが重要です。品質とコスト効率の向上は必ずしも大きな変化でしか実現できないわけではありません。業務自体のフローや、使用しているツールの改善や見直しなど、身近なところから問題解決し、改善していくことが大切です。そのためには目先のコスト削減よりも、長期的な視点から投資をしていくことも重要です。
プロジェクト管理とコミュニケーションの課題
スムーズな仕事の完成を実現するためには、プロジェクトを適切に管理することと円滑なコミュニケーションが必要不可欠です。
多くのエンジニアが関わるプロジェクトにおいては、開発のプロセスが標準化されていないとエンジニア自身のスキルや経験に依存することとなり、品質が不安定なものになりがちです。
また、開発の目的をしっかりと全員が共有しておくことも重要です。多くのエンジニア同士が円滑にコミュニケーションをとることによって、品質の向上も見込めます。
請負開発を選ぶ際のポイント
ここまで、請負開発のメリットやデメリット、現場での課題などについて解説してきましたが、請負開発を発注側が選ぶ際には、どのようなポイントをおさえておくべきでしょうか。委託する先を選定する際の基準や契約時の注意点についても確認しておきましょう。
委託先を選定する際の基準
請負開発の委託先を選定する際には、まずは実績や得意分野を見ておきたいところです。作りたいシステムに似たシステムの開発実績がある委託先かどうかを必ず確認するようにしましょう。経験豊富な委託先であれば、コストや納期の見積もりもより正確なものとなるでしょう。
また、コミュニケーションを円滑に行うことができる委託先かどうかも重要なポイントです。問い合わせへのレスポンスの速さや、こちらの意図をしっかり汲んだ提案をしてもらえるかなど、コミュニケーション能力についても不安がない委託先を選定するようにしましょう。
契約時の注意点
請負開発は『仕事の完成』をもって報酬が発生する契約であり、発注者側には『報酬の支払い義務』『発注者の指図に受注側が従った結果、第三者に損害を加えた場合の賠償義務』を、受注者側には『仕事の完成義務』と『成果物に不具合があった場合の修補の義務』が発生します。
それぞれの義務と責任について把握した上で、下記のポイントを契約時に確認するようにしましょう。
- ・業務の内容
- ・納期や納入方法、場所
- ・支払い方法
- ・条件などを変更する際の扱い
- ・契約不適合責任について
- ・損害賠償について
- ・再委託
- ・所有権や著作権など各種権利の扱い
業務内容や納期、納入方法や場所、支払い方法などは基本中の基本ですが、それ以外にもおさえておきたいポイントがいくつかあります。
例えば、再委託についてはしっかり確認しておきましょう。なぜなら民法上、請負においては第三者へ委託することが禁止されていないため、ここをすり合わせておかないと後々トラブルになる可能性があるからです。
また、請負開発においては契約後の変更が難しいことは前述した通りですが、条件変更がどうしても必要な場合は双方の押印がなされた書面で確認する、といった取り決めを前もってしておくとよいでしょう。
権利関係や損害賠償、契約不適合責任についても契約時にしっかりとすり合わせておかないとトラブルの元ですから、こちらも契約時には必ず確認するようにしましょう。
まとめ
日本企業のDX化が急務と言われてすでに数年が経ちました。デジタル化は進んでいる一方、トランスフォーメーションはなかなか進んでいない企業もまだまだ存在します。
世界的パンデミックの影響もあってIT化が加速した反面、国内のIT人材不足は深刻な状況が続いており、海外のITアウトソーシングを活用する企業も増加しています。
1970年代から始まったと言われているオフショア開発は、当初はコスト削減を目的として利用されていましたが、近年は優秀な人材を確保する方法の一つとして選択されることも増えてきました。さまざまな開発手法を熟知した経験豊富な人材を国内だけで探すのは難しくても、海外に目を向けることで優秀な人材に出会うことができるからです。
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この記事を書いた人
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