公開日:2023/12/04 最終更新日:2023/12/04

V字モデルの基本と活用方法:詳細ガイド

かつては開発といえばウォーターフォール型が主流でしたが、近年は開発にスピード感が求められるようになり、アジャイル型が主流となっています。とは言えウォーターフォール型の開発がなくなったわけではなく、開発するシステムの規模や特性に応じて適切な開発モデルを選択できる時代となっています。

今回解説するV字モデルはウォーターフォール開発の欠点を補うことのできる、開発工程とテスト工程の対応関係を表したモデルのことです。

以前に『受け入れテスト(UAT)とは|重要な項目・課題・注意点・実施方法』という記事でもV字モデルについて解説しています。受け入れテストについて詳しく知りたい方はぜひこちらもご一読ください。

 

|この記事でわかること

 

 ・V字モデルとは?概要について

 ・V字モデルを採用するメリットとデメリット

 ・Wモデルとの比較

V字モデルとは?

冒頭でも少し説明しましたが、V字モデルは開発工程とテスト工程の対応関係を表したモデルです。
ウォーターフォール開発は水が上から下に流れるように、上流から下流へと工程が移っていく図で表されますが、V字モデルは開発工程とテスト工程の対応関係をV字で表すため、ウォーターフォール開発の欠点を補う、進化系ウォーターフォール開発と呼ばれることもあるようです。

|V字モデルの定義と特徴

先に述べた通り、V字モデルは開発工程とテスト工程の対応関係をV字で表したモデルであり、下記の図のように、左に開発工程、右にそれに対応したテスト工程を並べます。

開発工程はこの図では下記のようになっていますが、『基本設計』から『詳細設計』までの3つの工程をまとめて『基本設計』『詳細設計』の2つの工程とするパターンもあります。

 ・要求分析

 ・基本設計

 ・機能設計

 ・詳細設計

 ・コーディング

V字モデル

|V字モデルの開発工程

V字モデルの開発工程は先に挙げた『要求分析』『基本設計』『機能設計』『詳細設計』『コーディング』です。それぞれの工程について詳しく確認していきましょう。

要求分析

要求分析とは要求定義とも呼ばれます。実際に開発を行う前に、利用者がシステムに対して何を求めているのかという『要求』を明らかにしていく工程のことです。
開発側がヒアリングを行って要求を文書化し、そこから実際の機能や性能を決めていく『要件定義』が行われます。
V字モデルにおいて『要求分析』に対応するテストは『受け入れテスト』です。

基本設計

要件定義のあとに行う設計の工程であり、外部設計とも言われます。要件定義で決定したシステムを実現するために必要な部分を設計していきます。外部(クライアントやユーザー)から見たときにどのような動きをするシステムなのかを設計していく工程です。この工程で作られるのが基本設計書です。
V字モデルにおいて『基本設計』に対応するテストは『システムテスト』となります。

機能設計

機能設計は基本設計の中に組み込まれることも多い工程です。基本設計の中でも機能の部分を具体的に設計していく工程です。この工程では機能設計書が作成されます。
V字モデルにおいて『機能設計』に対応するテストは『結合テスト』です。

詳細設計

詳細設計は基本設計や機能設計において決定した内容をどのように開発していくかを設計する工程であり、内部(開発側)がどのように開発を進めていくかを決める工程なので内部設計とも呼ばれます。この工程では詳細設計書を作成します。
V字モデルにおいて『詳細設計』に対応するテストは『単体テスト』となります。

コーディング

設計書をもとに、コードを書いていく工程です。設計書で決められたプログラミング言語を使用し、プログラミングコードを記述していきます。コーディングのあとに各種テストが行われます。

V字モデルのメリットとデメリット

V字モデルのメリットとしては、まずは開発工程に対するテスト工程がわかりやすいことが挙げられるでしょう。そのため、開発プロジェクトの進行状況を把握することも容易になります。状況が把握しやすければ、プロジェクトもスムーズに進みます。

デメリットとしては、手戻りのリスクが挙げられます。問題がテスト工程の段階で発覚すれば、上流工程への手戻りが発生することがあります。

|V字モデルを採用する理由

問題が起きた際に工数や時間、コストがかかってしまう可能性があるのはV字モデルのデメリットではありますが、V字モデルはウォーターフォール開発において進捗を管理しやすくし、手戻りリスクを軽減するためのモデルでもあります。

ウォーターフォール開発を採用するのであれば、V字モデルを活用しない手はないでしょう。

V字モデルとW字モデルの比較

V字モデルをさらに発展させた『W字モデル』というモデルがあります。W字モデルについてもV字モデルと比較しつつ解説していきます。

|W字モデルの特徴

W字モデルとは、V字モデルで対応していた開発工程とテスト工程を並行して進めていくモデルのことです。

V字モデルでは開発工程とそれに対応するテスト工程がわかりやすく配置されており、プロジェクト進行の効率化につながっていましたが、W字モデルでは開発の上流工程とテスト設計を同時に進めます。V字モデルよりも線が増え、下図のようにWに見える配置となるため、W字モデルと言われています。

W字モデル

開発工程とテスト工程を同時進行で進めるため、テストエンジニアが上流工程に関わることができるのも大きなメリットの一つです。
W字モデルは導入が難しいとも言われていますが、V字モデルの発展形であるため、V字モデルで起きた問題点を洗い出し、現状の把握と分析を行うことで採用しやすくなります。

まとめ

日本企業にとってDX化が急務と言われてしばらく経ちますが、デジタル化は進んでいる一方、トランスフォーメーションはなかなか進んでいません。大手企業はDX人材の育成を積極的に進めていますが、育成にはコストも時間もかかります。
中小企業は大手ほど育成にコストをかけられないため、国内のIT人材不足はまだまだ深刻な状況であると言えます。

オフショア開発は1970年代から始まったと言われており、当初はコスト削減を目的として利用されることがほとんどでした。近年ではコスト削減だけでなく、優秀な人材を確保する方法の一つとして選択されるようにもなっています。

今回解説したV字モデルやW字モデルを利用した開発を熟知した経験豊富な人材を国内だけで探すのは難しくても、海外に目を向けることで優秀な人材に出会うことができます。

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