シンギュラリティとは?2045年問題や社会への影響について解説!

公開日:2024/08/29 最終更新日:2024/08/29

シンギュラリティとは?2045年問題や社会への影響について解説!

高速インターネットやスマートフォンがすでに一般的になった現代。最近ではIoTや生成AIといった新しい技術が登場し、私たちの生活をより便利なものへと進化させています。

コンピューターの知能が人間の知能を超えてしまった世界を舞台にしたSF作品は昔から人気がありますが、そんな時代が、私たちが生きている間に本当に来るかもしれません。

今回解説する『シンギュラリティ』はコンピューターの知性が人間のそれを上回ることで起きる変化のことですが、定義や社会に与える影響、対策などを詳しく取り上げていきます。

シンギュラリティとは

冒頭でも少し触れましたが、この項ではシンギュラリティとは何か?について解説していきます。

『Singularity:シンギュラリティ』は本来、直訳すると『特異なこと』『特異性』などを指す言葉であり、もともとは数学や物理学において使われる概念のことです。直訳では『特異性』ですが、近年では『特異点』という意味で使われることも多いようです。

数学においては『ある対象の中で他とは異なる性質』を指し、物理においては『重力場が無限大となる場所』のことを『重力の特異点』と呼びます。

近年では、特にAIに関する話題において『Technological Singularity:テクノロジーシンギュラリティ(技術的特異点)』を意味した言葉として『シンギュラリティ』が使われており、『コンピューターの知性が人間のそれを上回ることで起きる変化』を指す言葉として定着しています。今回解説していく『シンギュラリティ』はこちらの意味です。

シンギュラリティの定義

シンギュラリティの定義としては、主に『AIが人間を超える知能を持つ転換期』『技術革新の加速が制御不能になる時点』の2つが一般的に使われているようです。

『AIが人間を超える知能を持つ転換期』とはAIが人間の知性を凌駕し、社会に大きな変革をもたらす時点を指します。

『技術革新の加速が制御不能になる時点』とは、AIの発展だけでなく、ナノテクノロジー、バイオテクノロジー、ロボット工学などの技術革新が相互に作用し、指数関数的に加速していく状態を指します。

また、『AIがAIを開発するようになる』ということをシンギュラリティの定義として挙げる研究者も多く、シンギュラリティのはっきりした定義はまだ決まっているわけではありませんが、『コンピューターの知性が人間のそれを上回ることで起きる変化』という点は共通しています。

歴史的背景と主要な予測

シンギュラリティという言葉自体は数学や物理学などで昔から使われてきた言葉であり、技術的特異点の概念は古くからSF作品などで数多く扱われてきましたが、『技術的特異点』という意味で『シンギュラリティ』を提唱するようになったのはアメリカの発明家であり未来学者である、AI研究の第一人者レイ・カーツワイル氏だと言われています。氏は2005年に出版した自著で「特異点は近い」と宣言しており、これが『シンギュラリティ』という言葉が広まるきっかけになったようです。

カーツワイル氏は、2029年には人間と同等のタスクをこなすことができる汎用人工知能(AGI)が登場し、2045年にはシンギュラリティが訪れるだろうと予測しており、これがいわゆる『2045年問題』と呼ばれています。

2045年問題

2045年問題とは、レイ・カーツワイル氏が提唱する、シンギュラリティが訪れる時期と共に立てられたさまざまな予測のことです。

人が行う仕事がAIで代替可能となることで雇用が大きく変化する可能性や、記憶や意識をロボットやコンピューターに継承することで生死の概念がゆらぐ可能性など、AIが人の知能を超えることで文明の主役となり、想定外の多くの問題が起こる可能性について述べています。

技術的進展とシンギュラリティ

シンギュラリティの到来は、AI技術をはじめとする様々な技術革新によって加速されると考えられます。

AIと機械学習の進化

AI技術の飛躍的な進歩は、シンギュラリティ到来における最も重要な推進力です。特に、近年注目を集めているのが深層学習と呼ばれる手法です。

深層学習は、人間の脳神経系を模倣したニューラルネットワークを用いて学習を行うものであり、画像認識や音声認識、自然言語処理などの分野で目覚ましい成果を上げています。

  • 画像認識: 深層学習を用いた画像認識技術は、人間の目を凌駕する精度を実現しており、顔認証、自動運転、医療画像診断など、様々な分野で実用化されています。
  • 音声認識: 音声認識技術も飛躍的に進歩しており、音声翻訳、音声アシスタント、音声操作など、様々な分野で活用されています。
  • 自然言語処理: 自然言語処理技術は、文章の意味を理解し、翻訳や要約を行うことができるもので、チャットボット、機械翻訳、文書管理など、様々な分野で実用化されています。

これらの技術革新によってAIは飛躍的に進化し、シンギュラリティの近い到来を予感するものとなっています。

その他の技術との相互作用

AI技術は、ナノテクノロジー、バイオテクノロジー、ロボット工学などさまざまな技術と融合することでさらに強力な力を発揮します。これらの技術革新が相互に作用し、シンギュラリティが実現する一因となることが予想されます。

シンギュラリティが社会に与える影響

シンギュラリティが実現することによる、さまざまな社会への影響が懸念されています。

前述したように雇用の変化や生死の概念の揺らぎなど、多くの問題が指摘されています。この項では主に『労働市場への影響』『倫理的・法的課題』について解説します。

労働市場への影響

AIが多くの仕事を自動化することで、雇用に大きな変化が生まれる可能性については前述した通りです。

クリエイティブな分野やコミュニケーションを必要とするサービス分野はまだまだ人間の感性が必要だと言われていますが、近年の画像・動画生成AIの進化は目覚ましく、人の感性とは違った独自のAI感性が育っていく可能性もありえます。

「AIが人間の仕事を奪う」とさまざまなメディアで若干センセーショナルに取り沙汰されることもあり、不確定ゆえに不安要素も多いのは確かですが、AIが私たちの仕事をより楽にしてくれると考えれば、仕事における人間の役割も新しくアップデートされていくのではないでしょうか。

倫理的・法的課題

AIはもともと人間が作り出したものを学習することで進化していくため、個人情報の扱いについてはさまざまな議論がなされていますし、画像や動画生成における著作権や肖像権などの問題もすでにさまざまなメディアで取り沙汰されています。

その他にもAIが進化することで、多くの倫理的・法的課題が浮上すると考えられます。

ある企業がAIを活用して人事採用を行った際に、採用が特定の人種や性別に偏り、差別が生じたという事例もあります。

先に述べた、記憶や意識をロボットやコンピューターに継承することができるようになれば、生死の概念がゆらぐだけでなく、法的にも倫理的にも問題が出てきます。

人の仕事が急激にAIにとって代わられることがあれば、貧困の拡大にもつながるでしょう。

このように、シンギュラリティが起きることで起こり得るさまざまな倫理的・法的課題にも対処していかなければなりません。

2024年5月、EU理事会はAIに対するルールの調和を目指す法案としていわゆるAI法を承認しました。AIのさまざまなリスクへの対処を目的とした初の国際的な枠組みであり、今後はこれが国際基準となり得るとされています。

シンギュラリティに向けた対策

先に述べたように、EUは2024年、AI法を承認しました。シンギュラリティへの対策はさまざまな国ですでに行われています。では、我が国の対策はどのように進んでいるのでしょうか?

企業と政府の準備

EUのAI法が成立した翌日、日本政府は『AI戦略会議』を開き、国内でも新たな法規制を導入するのか、AI戦略の課題と対応について検討を始めました。

厳しい国際競争に打ち勝つべく、AIに対する独自の戦略をとる日本企業は少なくありません。NECは2018年にAIビジネス戦略を担当する専門組織を作っており、富士通は2019年に外部の専門家による委員会を設置するなどのAI対策を進め、2023年にはヨーロッパを始め、地域ごとにAI責任者を配置しています。

個人の対応策と教育の役割

AIと人間が共存する社会を不平等なものにしないためには、社会と技術が調和し、人を中心とした設計をしていくことが重要です。

AIをはじめ、さまざまな技術が進化していくと、どうしても消えていく職業もありますが、新たに生まれる職業もあります。再教育や職業訓練などを充実させていくことで新たな雇用も生まれるのではないでしょうか。

AIの進化、シンギュラリティの到来は誰もが未経験の未来です。新しい時代に向けて現在の環境における課題を自覚し、個々がその問題に取り組んでいくことが重要です。

シンギュラリティに対する様々な見解

シンギュラリティについては、前述したレイ・カーツワイル氏の2045年問題以外にも、さまざまな予測が存在します。

カーツワイル氏は2045年にシンギュラリティが到来すると予測していますが、より早い時期に到来すると唱えている有識者も多く、例えばスチュアート・アームストロング氏は2040年の到来を予測しており、スーパーコンピューター開発で知られる齊藤元章氏や神戸大学名誉教授の松田卓也氏は2030年のシンギュラリティ到来を予測しています。

また、シンギュラリティに懸念を抱いている有識者も多く、スティーブン・ホーキング氏やビル・ゲイツ氏、イーロン・マスク氏などが進化しすぎたAIが人類に脅威をもたらす可能性を不安視しています。

まとめ

いつかSF作品で見たような世界がシンギュラリティによって実現するかはまだわかりませんが、AIの進化はめざましく、これまでできなかったようなことが次々とできるようになっているのは確かです。悲観的な予測も多いシンギュラリティですが、人間中心の社会を健全に保っていくことでAIと人が共存できる社会を実現していきたいですね。

「オフショア開発. com」は、厳正な審査を通過した、オフショア開発企業が多数パートナーとなっておりますので、AIに関する開発を得意としたパートナーもご紹介できます。

1970年代当初にはコスト削減を目的として利用されていたオフショア開発は、近年では優秀な人材を確保する方法の一つとして選択されることも増えてきました。さまざまな開発手法を熟知した経験豊富な人材を国内だけで探すのは難しくても、海外に目を向けることで優秀な人材に出会うことができます。

「オフショア開発. com」では、オフショア開発、外国人材採用に関する専門スタッフが、無料で御社のお悩みにお答えします。お悩み、ご相談などありましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。

この記事を書いた人

ユーザーサムネイル

オフショア開発.com 編集部

日本最大級の「オフショア開発」専門の発注先選定支援サービスとして、オフショア開発に関するご相談やお問合せを日々、承っております。


企業選定にお困りでしたら、オフショア開発. comの専門スタッフが無料相談を受け付けておりますので、お気軽にご利用ください。

このページを見た人は以下の記事も見ています。(関連記事)