最終更新日:2024/10/29
リスクヘッジとは?意味と使い方をわかりやすく解説
何においても、予期せぬトラブルをゼロにすることは不可能です。特にビジネスにおいてはトラブルへの対処を間違えて多大な損害を被ることもありますから、リスクへの対策は事前に準備しておきたいところです。
本テキストではリスクへの対処法であるリスクヘッジについて解説していきます。
リスクヘッジとは、予期せぬリスクや損失を最小限に抑えるために、事前に対策を講じることです。リスクを100%避けることはできませんが、対策しておくことで影響を軽減することはできます。例えば、企業経営では複数の供給元を確保して、供給停止のリスクに備えるといったリスクヘッジを行うことがあります。
この項では下記の2つについて解説します。
リスクヘッジの使い方
リスクヘッジは特にビジネスや投資の場面でよく使われる言葉で、ヘッジと呼ばれることもあります。もともとは金融用語だったと言われているリスクヘッジですが、これは和製英語であり、危険性という意味の『リスク』と防止策を意味する『ヘッジ』を組み合わせた言葉です。名詞として使われることもあれば、動作名詞として使われることもあります。
例えば「リスクヘッジしておく」「リスクヘッジが必要」「リスクヘッジのために事前に対策をしておく」「リスクヘッジが不十分だったために多大なリスクを負ってしまった」などの使い方をします。
リスクヘッジとリスクマネジメントの違い
リスクヘッジとリスクマネジメントは混同されがちですが異なるものです。リスクマネジメントはリスク管理のことであり、リスクの特定からその評価、そして対応策の策定・実施までの一連のプロセスを指します。
リスクヘッジはその中でも特に、リスクを軽減・回避するための具体的な手段や対策に焦点を当てた言葉です。
ビジネスでリスクヘッジを取り入れるメリット
リスクヘッジをビジネスに取り入れることで、多くのメリットが得られますが、ここでは代表的な3つのメリットを解説します。
経営や事業の安定性が向上する
リスクヘッジにより、予期せぬ損失や不利益を最小限に抑えることができます。たとえば、原材料の価格変動に対して、複数の調達先を確保することで供給リスクを減らすことが可能です。
投資家からの信頼を獲得できる
リスク管理がしっかりしている企業は投資家からの信頼を得やすくなります。投資家は、事業が安定しており、長期的にリターンが期待できるかどうかを重視するため、リスクヘッジを適切に行っている企業は信頼性が高いと評価される傾向にあります。
事業の継続性が強化される
リスクヘッジを行うことにより、事業が外部環境の変化や突発的な出来事に対して影響を受けにくくなれば、事業の継続性が強化されます。
ビジネスにおけるさまざまなリスクヘッジ
ここでは、さまざまなビジネスにおけるリスクヘッジを紹介します。
金融・証券分野のリスクヘッジ
デリバティブとは金融商品(株式や債券など)から派生した取引のことですが、保有資産や負債に関するリスクを避けるためのリスクヘッジとして活用されています。
デリバティブ取引には先物取引、オプション取引、スワップ取引などの取引があります。基本的には、先に価格や相場を決めておくことで変動リスクへの対処ができる、という考え方です。それぞれの特徴は下記の通りです。
- ・先物取引:将来の価格変動リスク対策ができる
- ・オプション取引:下落リスクを限定しつつ、上昇メリットを享受できる
- ・スワップ取引:金利や為替の変動リスク対策ができる
会社経営におけるリスクヘッジ
企業経営では、事業の多角化がリスクヘッジの代表的な例です。複数の事業を展開しておけば、一つの事業が不調に陥っても他の事業で補うことができます。
企業のリスクを分散させるための対策としては他にも、物的損害や賠償責任リスクをカバーしてくれる保険加入や、為替変動リスク対策として為替予約、原材料の価格変動リスクを避けるための長期契約などがあります。
株式投資におけるリスクヘッジ
株式投資では、以下のようなリスクヘッジ手法が一般的ですが、投資である以上どの方法でもリスクはつきものです。投資においては分散投資を行うこと自体がリスクヘッジとなります。
- ・ポートフォリオ分散:複数の銘柄に投資しておくことでリスクを分散する
- ・オプション取引:決められた期日に決められた価格で買う権利もしくは売る権利を売買するため、価格下落リスクへの対策となる
- ・空売り:銘柄の株価が落ち着くまで空売りすることで値下がりリスクへの対策となる
- ・インデックス投資:インデックスファンドは株価指数と同じ値動きとなるのでわかりやすく、市場平均並みのリターンを安定的に獲得できる
医療分野のリスクヘッジ
医療分野では、医薬品の供給不足や治療ミスなどのリスクに対して対策が行われています。複数の供給元を確保したり、最新の医療技術や治療プロトコルに従うことで、患者の安全を確保することがリスクヘッジの一環です。
医療過誤保険で賠償責任リスクをカバーしたり、医療機器の安全装置の多重化で機器故障リスクを軽減したり、データのバックアップで情報を喪失するリスクを減らすなどさまざまなリスクヘッジが考えられます。近年起こったようなパンデミックに備えるための感染症対策もリスクヘッジの一つです。
リスクヘッジの進め方
リスクヘッジは通常、以下のような手順で進めます。
- ・リスクを洗い出す・確認する
- ・リスクを分析する
- ・リスクヘッジを実行する
それぞれの手順について解説します。
リスクを洗い出す・確認する
リスクヘッジを行う第一歩は、想定されるリスクを洗い出すことです。市場の変動、供給不足、技術の変化など、ビジネスに影響を与える要因を把握することが重要です。一人ではなく複数名で行うことでさまざまな角度からリスクを洗い出すことができます。
リスクを下記のようなカテゴリーに分類してリストアップすると、わかりやすい上に漏れも防ぐことができます。想定できるリスクを徹底的に洗い出しましょう。
- ・財務リスク(為替、金利、信用リスクなど)
- ・運営リスク(事故、災害、人的ミスなど)
- ・戦略リスク(競合、技術革新、規制変更など)
- ・レピュテーションリスク(不祥事、風評被害など)
リスクを分析する
リスクを特定できたら、それらのリスクがどのような影響を与える可能性があるかを分析します。リスクの発生確率や影響度を数値化し、短期的リスクなのか長期的リスクなのかについても考慮します。
優先度を付けることで、どのリスクを先に対応すべきかも明確にしておきましょう。
リスクヘッジを実行する
リスクの分析結果に基づいて、適切なリスクヘッジを実行します。ヘッジ取引や保険の加入、資源の分散確保など、各リスクに対応するための手段を実施し、リスクに対する備えを強化します。実施するタイミングなども決めておきましょう。
リスクヘッジの手法は主に下記の4つに分類されます。
- ・リスク回避:リスクの高い活動を中止または変更する手法
- ・リスク低減:予防策や緩和策を講じてリスクを軽減する手法
- ・リスク移転:保険やアウトソーシングでリスクを他者に転嫁する手法
- ・リスク保有:コスト対効果を考慮し、一部のリスクを受容する手法
まとめ
市場のスピードがどんどん加速する現代では、これまで予想もしなかったことが起きることがあり、今回解説したリスクヘッジはビジネス全般においてとても重要な存在です。
開発においてもリスクヘッジはとても重要です。例えば、国内だけでなく開発を依頼するパートナーを海外にも作っておけば、国内の環境においてトラブルが起きても対応することができます。オフショア開発という選択肢を改めて考えてみませんか?
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