最終更新日:2024/11/11
オフショア開発で失敗する原因は?注意点と改善・対策
国内のIT人材は慢性的に不足しており、人件費も高騰し続けています。そこで海外に目を向けてオフショア開発を取り入れる企業も増えているのですが、オフショア開発を行ってみたものの、うまくいかなかった、失敗してしまった、ということも少なくないようです。
とはいえ、オフショア開発を導入して成功している企業も数多くあります。オフショア開発が成功する企業と失敗する企業では何が違うのでしょうか?
今回はオフショア開発で失敗する原因に焦点を当てて解説していきます。失敗する原因や事例、改善ポイントなどについて理解を深めていきましょう。
INDEX
1. そもそもオフショア開発の失敗とは?
2. オフショア開発で失敗する3つの原因
3. オフショア開発でよくある失敗事例
4. 失敗しないための注意点・改善ポイント・対策
そもそもオフショア開発の失敗とは?
オフショアでも国内でも、すべての開発において失敗の可能性はゼロではありません。
オフショア開発においては日本国内での開発とは勝手が違う部分があるために起こりうる失敗もありますが、日本国内でも同様の失敗が起こることもあります。
どんな開発でも失敗に備えることで成功率を100%に近づけていくことができます。
トラブルへの適切な対応や同様の失敗を繰り返さないための改善策を講じることなどが重要です。
オフショア開発で失敗する3つの原因
国内開発であってもオフショア開発であっても失敗のリスクはありますが、オフショア開発で失敗する原因は主に「言葉・文化の壁」「開発メンバーのスキル不足」「オフショア開発先の選定ミス」の3つです。
①言葉・文化の壁
言葉や文化が異なるのはもちろん、海外の人材は商習慣も日本とは違う常識のもと働いているため、日本の常識が通じないこともしばしば。日本で通じる「言わなくてもわかるだろう」は海外には一切通用しないと肝に銘じるべきです。特に「いつものようにお願いします」「いい感じでお願いします」など、曖昧な表現は避けましょう。
また、日本ほど時間感覚に厳しい国民性の国はほとんどありませんから、スケジュールや優先度についてもしっかり指示を出す必要があります。
②開発メンバーのスキル不足
開発にあたるエンジニアのスキルが足りないケースや、発注先がしっかりとした要件定義を行っていなかったために開発が失敗するケースも。
オフショア開発においては日本との橋渡しを行うエンジニア、「ブリッジエンジニア(ブリッジSE、BrSEとも)」の質によってプロジェクトの成功率が左右されるとも言われており、ブリッジエンジニアのスキルが低く現場のエンジニアとのコミュニケーションがうまくいかず失敗するケースもあるようです。
③オフショア開発先の選定ミス
依頼内容と合わないオフショア開発先を選んで丸投げしてしまったことからプロジェクトが失敗に終わるというケースも。開発先にも得意分野がありますから、依頼する際に実績などをしっかり調査することが重要です。
オフショア開発でよくある失敗事例
オフショア開発が失敗してしまう原因として「言葉・文化の壁」「開発メンバーのスキル不足」「オフショア開発先の選定ミス」があることは前項で述べたとおりですが、この項ではよくある失敗事例について確認しておきましょう。
オフショア開発でよくある失敗事例は、下記の4つの組み合わせであることがほとんどです。
- コミュニケーションがうまくいかない
- 納品されたシステムの品質が満足のいく出来ではない
- 納期が遅れてしまう
- 予算をオーバーしてしまう
例えば、日本風の「いつものように、いい感じに仕上げといてください」という曖昧な表現で丸投げしてしまったため、思っていたものと全く違うものが出来上がってきてしまった、という失敗事例は意外と多いもの。これは上記の「コミュニケーションがうまくいかない」「納品されたシステムの品質が満足のいく出来ではない」の2つにあたる失敗事例ですが、これらは日本で通用するコミュニケーション方法で海外の人材とやり取りしてしまったために起こった残念な事例の一つです。
母国語が異なる者同士でやりとりするのですから、曖昧な表現は排除し、細かいところまで指示・指定を行う必要があります。
また、納期や予算が予定と全く違うものとなってしまったというケースもオフショア開発でよく聞く失敗事例です。
仕様書に細かい指示を書くのを忘れたことで想定工数を低く見積もられてしまい、納期に遅れが出たというケースや、発注先は緊急性の高い作業だと思っている部分が、現地エンジニアにとってはさほど緊急性がないと思われていたりして作業が遅れるというケースがあるようです。
また、プロジェクトの進行やエンジニアのスキルとは関係なく、国によってはインフラの整備が日本ほど進んでおらず、停電によって作業を進めることが難しくなるといったこともあるようです。
見積もりよりも予算がオーバーするケースは、細かい仕様が伝わっていないことが原因で工数を見誤ったために起きることも多く、そもそも見積もりが安かった場合はスキルの低いエンジニアで構成されたチームである可能性もあるため、見積もり段階から実績の確認や相場との比較など、細かくチェックすることが重要です。
オフショア開発先となることが多い発展途上国は経済の状況によって人件費の変動が起き、当初の予定よりも高額になるということもあるようです。
失敗しないための注意点・改善ポイント・対策
では、オフショア開発を失敗しないためにはどういった点に注意し、改善すべきなのでしょうか。原因別に改善ポイントと注意点をまとめてみました。
原因①:オフショア開発先の選定ミス
開発先の選定ミスによってオフショア開発が失敗することを避けるために必要なのは、下記の2点です。
- 会社の実績を確認すること
- 見積もり内容をしっかりと確認すること
開発先のこれまでの実績を調査することで、得意な開発分野や規模感も見えてきます。依頼したいプロジェクトが開発先の実績とマッチしているかを必ず確認するようにしましょう。
また、見積もりの金額にも注意が必要です。相場と照らし合わせてあまりに安いようであればエンジニアのスキルが低いことも考えられますので、相見積もりは必須でしょう。
原因②エンジニアのスキル不足
エンジニアのスキル不足によってオフショア開発が失敗することを避けるためには、下記の2つを徹底しましょう。
- 発注前にアサインメンバーと会話する
- 必要に応じてブリッジエンジニアを交代することも検討
エンジニアのスキル不足によって開発が失敗するケースには、「ブリッジエンジニアのスキルが低いため」と「開発メンバーのスキルが低いため」の2種類があります。まずは発注前にアサインメンバーと会話してある程度のスキルレベルを見抜きつつコミュニケーションを取ることをおすすめします。
現場のメンバーのレベルを理解し、発注者が直接現場メンバーとやりとりできる下地を整えておけば、プロジェクトを進める上であまりにブリッジエンジニアのスキルが低かったり、相性が悪いなどの理由からブリッジエンジニアを交代してもらうこともできます。
原因③言葉・文化の壁
オフショアならではの開発失敗の要因としてもっとも大きいのが言葉や文化、商習慣が異なることでしょう。これを解決するには下記の3つの対策が重要です。
- 頻繁にコミュニケーションを取ること
- オフショア側に細かくフィードバックを実施すること
- 明確な指示を出すこと
まずは、言葉の壁があるのですから頻繁にコミュニケーションを取り、認識の相違がないかをこまめに確認する必要があります。細かくフィードバックを行い、明確な指示を行いましょう。仕様書なども行間を読む必要があるような構成は避けます。これくらいわかるよね?という感覚は捨て、優先順位や期日など、細かいところまで指示を行いましょう。指示は常に、具体的かつ明確に。
また、必要に応じて体制にテスターを加えることも検討するとよいでしょう。
そもそもオフショア開発をうまく活用していくためには…
そのほか、オフショア開発をうまく活用するために重要な対策が下記の2つです。
- 開発メンバーを固定すること
- 自社の開発チームとして認識すること
退職や開発先の都合など、さまざまな理由で開発メンバーがころころと変わるということがありますが、メンバーが頻繁に変わると引き継ぎなどで漏れが生じる可能性もあり、プロジェクトがスムーズに進まないことも。
そのため、開発メンバーは固定することを契約の時点で確約してもらうようにしましょう。
また、オフショア開発を単なる外注と認識せず、自社の開発チームとしてプロジェクトを進行していくことも重要です。外注先だからと丸投げせず、チームの一員としてチームビルディングや教育、マネジメントを行うことができれば最高ですが、そこまでできなくても開発背景やゴールを共通認識として持つことで、コミュニケーション不足による開発の失敗は避けられるでしょう。
まとめ
国内の人材が不足していて、人件費が高騰していることはわかっているし、オフショア開発ならコストをおさえつつ海外の優秀な人材に開発を依頼できることもわかっているけれど、どうしても海外に依頼することに不安がある、という方はとても多く、オフショア開発に失敗するというイメージを持っている方も少なくないようです。
しかし、オフショア開発で起こりうる失敗は国内開発でも起こり得ますし、日本人同士でもコミュニケーションのミスによってプロジェクトの破綻やトラブルを招いてしまうことはあります。
外注先だからと丸投げせず、同じチームとして共にプロジェクトを作り上げる敬意を持ち、明確な指示を行うことでオフショア開発を成功に導くことができるでしょう。
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