最終更新日:2024/01/11
ニアショアとは?オフショア開発との違い&メリットデメリット
企業のDX化が急がれる日本においては現在、デジタル人材を活用したさまざまなプロジェクトが進んでいます。そのため、DX人材やデジタル人材の不足は深刻で、都市部においては報酬も高額化し、予算を圧迫しています。
そこで注目されているのがニアショアやオフショアといった開発方法です。このテキストではニアショアに焦点を当て、オフショアとの違いや、どのようなメリットデメリットがあるかなど、事例を交えて理解を深めていきます。
INDEX
1. ニアショアとは?
2. ニアショアが注目される理由
3. ニアショアのメリット
4. ニアショアのデメリット
5. ニアショアとオフショアの違い
6. ニアショア開発事例・トレンド・ニュース
7. ニアショアとオフショア どちらを選ぶべき?
ニアショアとは?
ニアショアとは「近くの海岸」を意味する言葉で、ニアショア開発とは人件費の安い地方都市で開発を行うことを言います。
ニアショアが注目される理由
近年、ニアショア開発が注目されています。人材不足を解決し、コストを削減できることや、日本語が通じる地域への開発依頼であるためにコミュニケーションが円滑なものになるという理由をはじめとして、地方の開発会社は請負の経験値が豊富であり、開発がスムーズに進むとして人気を集めています。
地方都市に開発を依頼することで、都心に災害が起きた際のリスクヘッジとしてニアショアを利用する企業も少なくないようです。冒頭でも触れたとおり、DX化が急がれる日本においてはDX人材が慢性的に不足しており、地方の人材を活用できるニアショア開発は人材不足を解決する手段としてオフショア開発とあわせて検討されるようになりました。
ニアショアのメリット
すでにお伝えした内容と重複する部分もありますが、ニアショア開発のメリットについて改めて確認しておきましょう。
|コストが削減できる
国内の地方都市へ開発を依頼するニアショア開発は、都市部よりも人件費が抑えられることと、海外に開発を依頼するオフショア開発に比べて、日本語でやり取りできることが大きなメリットです。
平成30年の厚生労働省による「賃金構造基本統計調査」によると、システムエンジニアの所定内給与額(残業代、各種手当、賞与などは含まない月額給与)は東京都がトップで35.4万円に対して、最下位の高知県は23.7万円。全国平均は33.4万円となっています。また、プログラマーの場合は徳島県がトップで30万円に対して最下位の高知県は19.9万円となっており、全国平均は26.9万円。
近年はテレワークが一般的になりつつあり、クラウドソーシングなどの影響で都市部と地方との差は縮まっている傾向にあるものの、まだまだ地方都市の方が年収は低い傾向にあり、ニアショア開発による人件費のコスト削減は一定の効果があると言えます。
* 出典:「賃金構造基本統計調査(厚生労働省)」
|コミュニケーションがとりやすい
日本国内で開発を行うため、海外に依頼するケースに比べて、慣習や言語の壁がないのがニアショア開発の大きなメリットの一つです。
|リスク分散になる
開発拠点を地方に置くことで、災害時のリスク分散になります。
|人材育成のしやすさ
開発拠点が国内であるため、現場責任者を派遣する場合や採用する場合において、人材育成が距離の面でも文化の面でもしやすいというメリットがあります。
ニアショアのデメリット
ニアショア開発にはもちろんデメリットもあります。
|人材確保が難しい
地方都市は首都圏に比べて人口が少ないため、そもそも人材の数が多くはありません。そのため、人材確保が都市部よりも難しい傾向があります。
人件費が比較的安価なため、依頼したい企業も多く、人気のある外注先はスケジュールの確保が難しいことがほとんどです。
|大きなコスト削減は難しい
エンジニアを始めとしたDX人材の人件費は、年々首都圏と地方の差が少なくなっています。そのため、思ったほどコスト削減にはならなかった、というケースも多いようです。
|発注先の選定が難しい
特定派遣の禁止により、これまでの元請け・下請け関係が成り立たなくなった今、委託先を一から選定するのはなかなか難しいことであり、馴染みのない地方の企業であれば、さらに選定が難しくなります。
ニアショアとオフショアの違い
冒頭でも触れましたが、ニアショア開発は国内の地方都市に開発を依頼することで、オフショア開発は海外に開発を依頼することです。
|ニアショアとオフショア比較
・開発コストの削減
<ニアショア>
都市部よりも人件費の低い地方都市に依頼するため、コスト削減が可能です。ただし、近年では人件費が上昇傾向にあります。
<オフショア>
海外に依頼するので、ニアショアよりもさらなるコスト削減が可能となります。人件費が日本の半分以下の国も。こちらも国によっては人件費が上昇傾向にあります。
・リソースの確保
<ニアショア>
日本国内のITエンジニアの人材不足は地方都市においても変わりません。最近ではIターン/Uターンなど、地方に就職・転職する流れも出てきていますが、多くのニアショア開発企業では人材不足により、スピーディな開発体制の構築ができず、数ヶ月待ちとなるケースもよくあるようです。また、優秀な人材は複数のプロジェクトを兼務していることもありますので、プロジェクトが遅延するリスクも。
<オフショア>
日本国内に比べ、ITエンジニアのリソースが豊富な国であれば、早急な開発体制の構築も可能です。特にラボ型開発であれば、1週間ほどでプロジェクトをスタートできるケースもあります。また、月ごとに開発チームの体制を増減するなどの、柔軟性をもった開発を進めることも可能です。
・コミュニケーションの難易度
<ニアショア>
日本語でコミュニケーションが可能で、文化や慣習の違いもほとんどありません。
<オフショア>
国や企業を選べば日本語でコミュニケーションができるケースもありますが、言語と文化、慣習の違いから来るコミュニケーションミスが起こる可能性も。
・リスク分散
<ニアショア>
地方都市に依頼するため、災害時のリスクを分散することができますが、日本は自然災害の多い国であるため、海外に比べると災害リスクが大きくなる可能性も。
<オフショア>
海外に依頼するため、災害時のリスクを分散することができます。災害のリスクは日本より少ない傾向にありますが、国によります。
・為替変動や海外情勢の影響
<ニアショア>
国内なので影響はありません。
<オフショア>
為替変動が人件費に与える影響は大きく、治安などカントリーリスクの影響を受けることもあります。
ニアショア開発事例・トレンド・ニュース
|ニアショア開発ドットコム
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|SCSKのニアショア体制
システム開発や販売を行う大手システムインテグレーターであるSCSKは、2020年度からの新中期経営計画のなかで「地方拠点の積極的拡大」を掲げており、ニアショア体制を拡充しています。
これは地方でのIT人材の雇用創出や人材育成を目的としたものであり、事業成長のために重要な施策として位置づけているのだとか。
|一般社団法人ニアショア開発推進機構
一般社団法人ニアショア開発推進機構は、国内の地方都市でのシステム開発を推進すべく設立された機構であり、同機構が定めたガイドラインに適合し、適切なプロジェクト遂行が実施できる体制を整備している事業者を認定ニアショアベンダーとして認定する制度「認定ニアショアベンダー制度」を設けています。
ニアショアとオフショア どちらを選ぶべき?
ニアショアとオフショアには、前述したようにそれぞれにさまざまなメリットとデメリットが存在します。
小規模な案件でニアショアが活用され、大規模な案件ではオフショアが活用されるといった傾向はあるようですが、どちらを選ぶかは何を重視するかによります。
コミュニケーションコストなど、トータルでのコストを比較し、より開発がスムーズに進む方をプロジェクトごとに選択するのも一つの考え方です。
ニアショアの抱える大きな課題としては、リソースの規模と柔軟性があげられます。国内のITエンジニアはニアショアにおいても、逼迫しています。大規模な開発だとリソース不足により対応できないか、できたとしても長期の開発期間が必要になるでしょう。また、リソースが不足していると、開発体制の構築に時間がかかったり、開発チームの増減がフレキシブルにできないことにも繋がります。開発スピードを追求する場合には、オフショアを積極的に検討するのがオススメです。
まとめ
都市部で高騰する人件費を少しでも抑えるために、DX化が急がれる日本企業がニアショアやオフショアを活用する動きは近年、増加傾向にあります。ただ、ニアショアは国内の人材不足を解決する方法にはならないため、よりコストを抑えて優秀な人材に開発を依頼したい中小企業は海外に目を向けることが多いようです。
オフショア開発なら、優秀な人材をより安価なコストで獲得することができます。でも海外に依頼するのはなかなかハードルが高い、そんな風にお考えのご担当者様は一度、無料のコンシェルジュにご相談してみてはいかがでしょうか。
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