公開日:2024/08/29 最終更新日:2024/08/29
ICTとは?基本から最新の活用事例まで詳しく解説!
インターネットやPC、スマートフォンとそれを活用するさまざまな技術は今や私たちの生活において当たり前のものとなっています。1995年のWindows95発売を契機に、PCユーザーやインターネットユーザーは増え始め、2000年にはIT基本法が成立しました。
その後もIT技術の発展はめざましく、さまざまな技術やサービスが生まれ続けています。
今回はITをさらに拡張した意味の言葉である『ICT』を解説します。ICTの基礎知識から活用事例、ICTを支える新技術などについて詳しく取り上げていきます。
ICTとは?
ICTは「Information and Communication Technology」の略称であり、日本語に訳すと「情報通信技術」です。情報処理技術と通信技術の総称であり、現代社会のさまざまな分野において重要な役割を果たしています。
ICTの定義と基本概念
総務省の『住民参画システム利用の手引き』内の用語解説において、ICTは下記のように定義されています。
Information and Communication Technologyの略。情報(information)や通信(communication)に関する技術の総称。日本では同様の言葉としてIT(Information Technology:情報技術)の方が普及していたが、国際的にはICTがよく用いられ、近年日本でも定着しつつある。
住民参画システム利用の手引き(総務省)https://www.soumu.go.jp/denshijiti/ict/data/3.html#ict
ICTはIT(Information Technology:情報技術)にコミュニケーションが加わった言葉であり、ITを拡張した概念とも言えます。情報を収集、処理、保存、伝達、共有するための技術と、それらを支えるインフラを指す言葉です。
ICTとIT、IoTの違い
先述したように、ICTは情報処理技術と通信技術の総称である「Information and Communication Technology(情報通信技術)」の略称です。
ITは「Information Technology」の略称であり、コンピューターやネットワークを利用した情報技術のことを指します。
IoTは「Internet of Things(モノのインターネット)」の略称であり、インターネットに接続された機器同士が通信し、情報を交換する仕組みを指します。近年一般的になったスマートホームやスマートスピーカーなどが代表的な例と言えるでしょう。
ICTはITとIoTの両方の要素を含んだ、より広範な概念と言えます。
日本においては先に述べた通り、ICTの意味でITという言葉を使うこともあったため、まだまだITとICTの境目が曖昧なケースもあるようです。
ICTの技術的要素
ICTは、情報を収集・処理・保存・分析する『情報処理技術』と情報を伝達・共有する『通信技術』で構成されています。ICTの構成要素や代表的なデバイスなどについて解説します。
主要な構成要素
ICTを構成する主要な要素としては、下記のようなものが挙げられます。
- ハードウェア:コンピュータ、ネットワーク機器、通信機器、センサーなど、データを処理する機器。
- ソフトウェア:オペレーティングシステム、アプリケーションソフト、ミドルウェアなどハードウェア上でタスクを実行するソフトウェア。
- データ:テキスト、画像、音声、動画、センサーデータなど、情報として処理されるデータ。
- ネットワーク:インターネット、イントラネット、LAN、WANなど、通信を行うためのシステム。
- サービス:電子メール、Webサイト、クラウドサービス、IoTサービスなど、情報を共有し、活用するさまざまなサービス。
これらの要素が組み合わさることで、さまざまなICTシステムが構築されています。
ICTデバイスと通信技術
『デバイス』とは装置や電子機器を指す言葉です。ICTにおいて使用されるデバイスは情報処理や通信を行うための機器であり、以下のようなものが代表的です。
- スマートフォン
- パソコン
- タブレット
- サーバ
- ルーター
- スイッチ
- センサー
これらのデバイスは、さまざまな通信技術を用いて情報を伝達、共有します。代表的な通信技術には以下のようなものがあります。
- 無線通信(Wi-Fi、Bluetooth、LTEなど)
- 有線通信(光ファイバー、LANケーブルなど)
- 衛星通信
通信技術の発展により、ICTデバイスはより高速かつ安定的に情報を伝達できるようになっています。
ICTの活用事例
ICTはビジネスや教育分野など、さまざまな分野で活用されています。
ビジネスにおけるICTの利用
ビジネスにおいては、業務効率化や新製品の開発、リモートワークなどでICTの技術が活用されています。下記のような例が挙げられます。
- 業務効率化:ワークフローの自動化、データ分析、顧客管理など
- 新製品開発:ビッグデータ分析、シミュレーション、3Dプリンティングなど
- マーケティング:顧客分析、広告配信、オンライン販売など
- リモートワーク:ビデオ会議、オンラインコラボレーション、クラウドサービスなど
製造業においてFAXをPDF化してクラウド上に保存するシステムによって業務効率化した実例や、運輸業において配車情報をスマートフォンから入力できるようにしてドライバーの負担を軽減した事例、農業においてはセンサーで気温や湿度、日射量などを記録して病気の発生アラートを出したり収穫時期などを予測したりする、いわゆるスマート農業を行っている事例などもあります。
教育分野でのICT活用
教育分野においては、文部科学省がICT教育を推進しており、全国の生徒に対して一人一台端末環境、高速ネットワーク環境を整備し、次世代型の教育を目指す『GIGAスクール構想』が進められています。
2021年には世界的なパンデミックの影響もあり、ICT教育の流れが加速されました。タブレットを取り入れた授業やデジタル教科書、オンラインでの学習などでICTが活用されています。
ICTを支える最新技術
ICTの進化を支える最新技術には、クラウドコンピューティングやビッグデータ、最近盛り上がりを見せているAI(人工知能)、ロボット、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)、IoTや3Dプリンティングなどさまざまなものがあります。
これらの最新技術は、ICTの利便性や機能性を飛躍的に向上させています。中でも注目度の高い、クラウドコンピューティングとビッグデータについて詳しく解説します。
クラウドコンピューティングとICT
クラウドコンピューティングは一般的に『クラウド』と呼ばれる、ICTの基盤となる重要な技術です。利用することでコスト削減やセキュリティにおけるメリットを得ることができます。
- コスト削減:初期投資を抑え、ランニングコストを最適化
- スケーラビリティ:業務量に合わせて、リソースを柔軟に拡張・縮小
- 可用性:データやアプリケーションを常に利用可能
- セキュリティ:高度なセキュリティ対策を講じることが可能
ビッグデータとICTのシナジー
ビッグデータとは『巨大なデータ』のことであり、データの種類はテキストや画像、動画や音声といったさまざまなものがあります。 また、非構造化データや非定型的データも含まれています。
人の手では全てを把握することが難しい膨大なデータ『ビッグデータ』はICTの発展に伴い、データの収集や分析がリアルタイムで行うことが可能となっています。ビッグデータを分析することで、以下のようなことが実現します。
- 顧客行動の分析:顧客のニーズや嗜好を理解し、最適な商品・サービスを提供
- 市場動向の分析:市場のトレンドを把握し、新たなビジネスチャンスを創出
- リスク管理:リスクを早期発見、適切な対策を講じることが可能
- 意思決定の迅速化:データをもとに迅速かつ的確な意思決定を行うことが可能
ICTとビッグデータの組み合わせは、多くの分野で革新をもたらす可能性を秘めています。
ICTのセキュリティとプライバシー
近年、高速インターネットやスマートフォンなどの普及により、インターネットユーザーは増え続けています。Statista社の調査によると2021年に日本のインターネット利用者数は約1億1,630万人であり、2026年には1億1,640万人近くまで増加すると予測されています。
インターネット利用の高度化や多様化によって、私たちの生活は便利なものとなりましたがそれと同時にさまざまな課題も生まれています。
情報セキュリティやプライバシー保護への意識も高まっており、ICTを安全に活用するためには、情報セキュリティ対策やプライバシー保護対策が必要不可欠です。
総務省は『個人情報・利用者情報等の取扱いに関するWG』において『ICTサービスにおける個人情報・利用者情報等の取扱いに関する現状と課題』を議題に挙げ、資料にまとめています。2022年には個人情報保護法が改正され、これまでのものと比べて罰則などが強化されました。
2018年、EUでは従来より規定内容や罰則を大幅に厳格化した『EU一般データ保護規則(GDPR)』が施行されました。この規則においては位置データやIPアドレス、Cookieなども保護対象とされており、これらの情報を取得する際にはデータの利用目的や保管期間といった事項を個人に対して明示し、そのうえで取得すること、利用することの同意を得る必要があります。
このGDPRに比べると日本の個人情報保護法はまだまだ強制力が弱いと言われています。
とはいえ、日本国内でもセキュリティ意識は近年高まりを見せており、企業のセキュリティに対する姿勢は消費者から厳しく見られる時代となりました。今後もさらに個人情報の取り扱いに気をつける必要があるでしょう。
まとめ
ICTは、現代社会を支える基盤となる重要な技術であり、さまざまな分野で効率化や革新、新たな価値創造を実現することができます。
今後もICTは進化し続け、私たちの生活をより便利で豊かなものにしていくことでしょう。
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