最終更新日:2025/03/19
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工程を管理するために使われるガントチャートは、作業計画を視覚的に表現することができ、わかりやすく使いやすいため、さまざまなプロジェクトにおいて活用されています。
ガントチャートを作ることのできるツールは色々ありますが、今回はビジネスパーソンであればほぼ全員が知っていて、かつ、比較的手軽に使うことができる表計算ソフトMicrosoft Excel(本テキストではエクセルと表記)でガントチャートを作る方法について解説していきます。
ガントチャートをエクセルで作る方法
ガントチャートは、プロジェクト管理に欠かせないツールです。エクセルを使えば、簡単に自分だけのガントチャートを作成できます。ここでは、エクセルでガントチャートを作成する手順を詳しく説明していきます。
最低限必要な項目を考えておく
エクセルに落とし込む前に、まずはガントチャートに必要な情報を整理します。必ず必要となってくるのはタスク名、担当者、開始予定日と終了予定日、ステータスと日付の項目です。その他にも、タスクにカテゴリー名をつけたり、プロジェクト名を上部に配置することもあるでしょう。
プロジェクトに応じて必要な情報を整理し、エクセルに落とし込む項目を用意しておきましょう。
項目と日付を入力する
項目が決定したら、そちらをエクセルに入力していきます。ここではタスクのNo.とタスク名、担当者、開始予定日と終了予定日、ステータスと日付の項目のみを入れ込んでいますが、必要に応じてプロジェクト名やカテゴリー名、曜日などを追加してください。
必要な場所を色付けする
必要な場所を色付けすればガントチャートの完成ですが、色付けには手動で行う方法と、書式を設定して、日付に応じて自動で色付けされるようにする方法があります。
【手動で色付けする方法①:塗りつぶし】
エクセルでガントチャートを作成する際に、一番手軽なのは日付のセルを塗りつぶすことです。セルの塗りつぶし機能を使えば、簡単に作成することができます。
【手動で色付けする方法②:図形の挿入】
次に手軽なのは、図形を使用する作り方です。挿入→図形から矢印を選択します。図形の書式設定から、色や線の太さなども変更できます。
【日付に応じて自動で色付けする方法:条件付き書式】
また、エクセルに慣れている方なら、条件付き書式を使って自動で色がつくように設定すると、入力ミスを減らすことができます。該当セルを選択し、ホーム→条件付き書式から『新しいルール』を選択して書式を設定します。
この際に『数式を使用して、書式設定するセルを決定』を選択する必要がありますが、エクセルのバージョンによってはスタイルを『クラシック』に設定しないとこちらの選択肢が出てこないことがありますので注意してください。
下記の条件付き書式では、G3のセルに、G2の日付がD3以上という条件と、E3の日付以下という条件を両方満たしていれば色がつくという条件付き書式を設定し、それをオートフィルでその他のセルにもコピーしています。(オートフィルを使う際には絶対参照で列と行がずれないように設定する必要があります)
グラフで作成する方法もありますが、条件付き書式よりも作るのに手間がかかるため、ここでは割愛します。
ガントチャートで使えるエクセルの便利な機能
エクセルの関数を活用し、条件付き書式と組み合わせることで、日付以外にもステータスによって背景色を変えたり、好みに応じたカスタマイズが可能です。
- 期限までの日数を表示する
- ステータスに応じて背景色を変える
期限までの日数を表示する
タスクの期限管理はプロジェクト進行の要です。期限までの残り日数を自動計算する関数を使えば、進捗状況が一目で分かります。
例えば、DATEDIF関数は2つの日付間の日数や月数、年数を求めることのできる関数です。
=DATEDIF(開始日,終了日,単位)
単位には、次のような値を指定します。日数の場合は”D”です。
"Y":期間内の満年数
"M":期間内の満月数
"D":期間内の日数
ステータスに応じて背景色を変える
条件付き書式を組み合わせることで、ステータスによって背景色を変えることができます。こちらは条件付き書式を3つ設定することでステータスに応じた3種類の色分けを行っています。
ここでは「対応中」の場合は水色、「済」の場合はグレー、それ以外はオレンジになるように設定しています。
ここでは条件にAND関数を入れ込んでいますが、ほかにもIF関数などさまざまな関数を条件付き書式と組み合わせたり、ステータスの部分をプルダウンにするなど、さまざまなカスタマイズが可能です。
ガントチャートをエクセルで作るメリット
エクセルでガントチャートを作成することには、多くのメリットがあります。ここでは、エクセルを使用することの利点について詳しく見ていきましょう。
- 項目をカスタマイズできる
- コストをかけずに作成できる
- 慣れ親しんだソフトだから誰でも使いやすい
項目をカスタマイズできる
エクセルの大きな魅力は自由度の高さです。プロジェクトの特性や個人の好みに合わせて、ガントチャートの項目を自由自在にカスタマイズできます。
先述した条件付き書式や関数など、エクセルのさまざまな機能を使い、ぜひ自社にとって最も使いやすいガントチャートを作成してみてください。
コストをかけずに作成できる
ガントチャートの本質はプロジェクトの進捗を視覚化することで、複雑なタスクの関係性や進捗状況を誰にでもわかりやすく表現することが重要です。
ガントチャートを作成できるツールは他にもありますが、多くのビジネスパーソンが使用しているエクセルを使うことで、コストをかけずにガントチャートを作り、共有することができます。
慣れ親しんだソフトだから誰でも使いやすい
多くの人がすでに使い慣れているエクセルでガントチャートを作成することで、導入のハードルが大幅に下がります。特別なトレーニングなしで、すぐに活用を始められるのが大きな利点です。
近年はスプレッドシートなどの普及率も上がっていますが、エクセルはまだまだ最も使われている表計算ソフトです。Googleスプレッドシートとも互換性があり、エクセルのファイルはGoogleスプレッドシートで開くことができます。ただ、その際に一部の機能や書式設定が消えてしまう可能性もあるので手直しは必要です。
ガントチャートをエクセルで作る時の注意点
エクセルでガントチャートを作成する利点は多いですが、いくつか注意点もあります。ここでは、エクセルを使用する際に気をつけるべきポイントを解説します。
- 同時編集ができない
- ファイルの取扱いは慎重に行う
- プロジェクトごとに管理しなければならない
同時編集ができない
一般的に、エクセルは複数人が同時に1つのファイルを編集することができません。これは、チームでのリアルタイムな情報共有を難しくする可能性があります。
エクセルと互換性のあるGoogleスプレッドシートでは複数人が同時に編集することができるため、同時編集を行いたい場合はGoogleスプレッドシートなどのクラウドサービスを活用するとよいでしょう。ただ、先述したようにGoogleスプレッドシートでは一部の書式設定などが消える可能性があるので注意してください。
ファイルの取扱いは慎重に行う
エクセルファイルは、不適切な操作によってデータが失われるリスクがあります。もちろんデータが失われるリスクはどのようなツールにもありますが、エクセルでよくあるトラブルが、誤って上書き保存してしまったせいで先祖返りや書式設定、関数が消えてしまうことです。特に大規模なプロジェクトのガントチャートを扱う際は、細心の注意が必要です。
共有するエクセルファイルは定期的にバックアップを取りましょう。また、エクセルにはセルのロック機能やシート保護機能があるため、各自変更の必要がなく、変更してほしくないセルやシートを前もってロック・保護しておくことでトラブルを防ぐこともできます。
プロジェクトごとに管理しなければならない
通常、ガントチャートはプロジェクトごとに別々のファイルで管理することが多く、複数のプロジェクトを横断的に管理する際に不便を感じる可能性があります。
複数のプロジェクトを同時に管理する場合には、別途プロジェクト管理ツールなどを検討してみても良いかもしれません。
まとめ
ガントチャートはタスクの可視化を行い、プロジェクト管理の効率化につながるとても便利なツールです。身近なエクセルでも見やすいガントチャートを作成できることがおわかりいただけたのではないでしょうか。
大規模なプロジェクトになればなるほど、エクセルだけでは管理しきれなくなってきますが、小規模なものであればコストをかけずに作ることができるエクセルがおすすめです。
プロジェクトの成功には、今回ご紹介したガントチャートなどの活用でプロジェクト管理の効率化を行っていくことはもちろん、質の高いリソースや人材の確保が必要不可欠です。
国内で必要なスキルを持つ人材を見つけるのが難しい場合、アウトソーシングやオフショア開発が有力な選択肢となります。優れた委託先と連携することで、リソースの不足を補い、プロジェクトの質と効率をさらに高めることが可能です。
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