クロスプラットフォームのメリット・デメリット|トレンドとアプリ開発事例

公開日:2022/07/06 最終更新日:2023/08/07

クロスプラットフォームのメリット・デメリット|トレンドとアプリ開発事例

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近年、Googleが公開した『Flutter』を筆頭に、クロスプラットフォームへの関心が世界的に高まりを見せています。複数のデバイス向けのアプリケーションを一つの環境で開発できるという非常に便利なものですが、日本では浸透していないようです。それはなぜなのでしょうか?

 

このテキストでは、クロスプラットフォームとは何か、クロスプラットフォームの種類やメリット・デメリットなどを詳しく解説し、実際にクロスプラットフォームで開発されたアプリの実例もご紹介します。

INDEX

1. クロスプラットフォームとは?

2. クロスプラットフォームの種類

3. クロスプラットフォーム開発のメリット

4. クロスプラットフォーム開発のデメリット

5. クロスプラットフォームの代表的なフレームワーク

6. クロスプラットフォームで開発されたアプリの事例

7. マルチプラットフォームという今後の展望

クロスプラットフォームとは?

クロスプラットフォームとは異なるデバイスやOSなど、さまざまなプラットフォーム上で同じ仕様のアプリケーションを動かすことのできるプログラムです。複数のOSに対応したアプリを一つの環境、一つの言語で開発することが可能となるため、需要が急激に高まっています。

これまでこのクロスプラットフォーム対応はWebアプリケーションに関しては可能であるものの、ネイティブアプリでは難しいとされていましたが、近年、ネイティブアプリの開発でも使えるフレームワークが登場し、開発におけるトレンドとなっています。

 

日本ではAndroidとiOSのシェアがほぼ半々となっており、アプリケーションを開発する際にはAndroid向け、iOS向け両方を開発する必要があります。これまではそれぞれのOSに合わせて開発しなければいけないことから、コストや開発期間がかかってしまうことがネックとなっていました。

クロスプラットフォームであれば複数のOS向けの開発が基本的に一度で済むため、開発期間やコストをおさえることができます。

 

|クロスプラットフォームのトレンド『Flutter』

 

クロスプラットフォームのトレンドを語る上で欠かせないのが、Googleが2018年にリリースしたモバイルアプリ開発用フレームワーク『Flutter』です。

『Flutter』はアメリカや中国、インドなどで多くのエンジニアに利用され、トヨタ自動車でも採用されることが決まり、世界的なトレンドとなっています。

人気の理由は一度の開発で複数デバイスに対応したアプリを作ることができることはもちろん、JavaScriptの流れを汲む開発言語『Dart』を利用しているため、JavaScriptを学んだエンジニアであれば比較的簡単に習得しやすいことや、2021年にはモバイル以外にも対応できる新バージョン『Flutter2』がリリースされたことなどが挙げられます。

しかし、日本にはまだまだエンジニアが少なく、これが日本国内でなかなか浸透しない原因だと言われています。

クロスプラットフォームの種類

クロスプラットフォームはUI操作の特徴から「ネイティブ」「独自」「Web」の3タイプに分類されます。

 

|ネイティブタイプ

 

『Xamarin』や『React Native』といったネイティブタイプのクロスプラットフォームは、OSプラットフォームの描画エンジンを利用するため、高速処理が可能となるのがこのタイプで、操作性が高くネイティブアプリと同等の表現を実現することができます。

 

ネイティブタイプのクロスプラットフォームはオフライン環境で操作可能なアプリの開発に向いています。

 

|独自タイプ

 

『Unity』『Flutter』などのネイティブタイプは高速処理が可能で操作性が高いことがメリットですが、OSのUIに依存してしまうことがデメリットです。そのデメリットを解決できるのがこの独自タイプのクロスプラットフォームです。

 

OSに依存しない独自の仕様を実現できるこのタイプはゲーム開発に向いています。

 

|Webタイプ

 

WebViewはOS上でWebページを表示する機能を持つソフトウェアですが、WebViewのようなアプリケーションを作ることができるのが『Cordova』や『Electron』など、Webタイプのクロスプラットフォームです。Web上のコンテンツをアプリとして使いたい、というときに向いています。

あまり高度な機能には向いておらず、処理速度が他のタイプに比べて遅いのがデメリットです。

クロスプラットフォーム開発のメリット

クロスプラットフォーム開発を行うもっとも大きなメリットは開発にかかる工数・コストの削減が可能であることですが、そのほかにもさまざまなメリットがあります。

 

|工数とコストの削減

 

前述したように開発にかかる工数とコストを削減できるのがクロスプラットフォームを利用した開発の大きなメリットです。複数のデバイス対応のアプリケーションを共通コードで開発することが可能であるため、開発体制も最小限にすることができます。

 

|機会損失を避けることができる

 

日本においてはAndroidとiOSが占める割合はほぼ半々であり、機会損失を避けるためにもアプリケーション開発はどちらのOSにも対応したものを作る必要があります。

これまでは世界においてはAndroid、日本においてはiOSのシェアが多数を占めていたことからどちらかに絞って開発を行う企業も少なくありませんでしたが、クロスプラットフォームの登場によって対象OSを絞る必要はなくなりました。

 

|仕様変更・保守運用コスト削減

 

フレームワークによって言語が決められているクロスプラットフォームには仕様変更に対応しやすく、デバッグ対応も比較的容易であるという利点があります。

ユーザーにアプリケーションを使い続けてもらうためにはリリースした後の保守運用が非常に重要ですから、バグや誤作動などに対応しやすいクロスプラットフォーム開発は保守運用のコストも削減できる理想的な開発方法と言えます。

クロスプラットフォーム開発のデメリット

使いやすくコスト削減にもつながるクロスプラットフォーム開発ですが、まだ世に出て日が浅いため、事例やエンジニアが少ないというのがもっとも大きなデメリットです。そのほかにもクロスプラットフォーム開発のデメリットを確認しておきましょう。

 

|開発事例およびエンジニアの少なさ

 

特に日本国内で言えるデメリットですが、日本ではクロスプラットフォーム開発の事例やエンジニアがまだまだ少なく、海外に比べてクロスプラットフォームが浸透していないという問題があります。

 

|OS依存のバグへの対応が必要なことも

 

一つの環境で複数のデバイスに対応したアプリを開発できるのはクロスプラットフォームの大きな特徴でありメリットですが、OSごとの不具合が生じた際はそれぞれのOSに対応するプログラミング言語を使って対応する必要が生じます。不具合が生じた際の対応は前もって対策を講じておくといいでしょう。

 

|最新OS・最新機能への対応

 

OSのアップデートなどの際、アプリを最新のOSに対応させる必要がありますが、クロスプラットフォーム開発の場合はクロスプラットフォームが最新OSに対応するのを待つ必要があります。

そのため、OSや端末ごとの最新機能を実装しづらい、というのもクロスプラットフォームのデメリットと言えます。

クロスプラットフォームの代表的なフレームワーク

先に少し触れましたが、この項ではクロスプラットフォームの代表的なフレームワークについて解説します。

 

|Flutter

 

冒頭でも近年のトレンドとして解説しましたが、Googleがリリースしたクロスプラットフォームのためのフレームワークが『Flutter』です。採用されているプログラミング言語は2011年に開発されたJavaScriptの後継言語『Dart』であり、こちらもGoogleが開発したものです。

独自タイプのフレームワークであるため、プラットフォームに依存しない自由度の高いUIを作成することができるのが特徴です。

GoogleがGooglePayのモバイルアプリを『Flutter』で開発したことが大きな話題になりました。

 

|React Native

 

元FacebookのMeta Platforms、通称Metaが開発したオープンソースのフレームワークが『React Native』です。同社のJavaScriptライブラリである『React』を引き継いだ設計がなされているため、『React』を利用しているエンジニアにとって使いやすいのが大きなメリットです。Facebookはもちろん『React Native』を用いて作られています。

 

|Xamarin

 

Xamarinが開発した『Xamarin』は、XamarinがMicrosoftに買収されたことにより現在はMicrosoftから提供されています。

Microsoftが開発した言語『C#』を採用しており、ネイティブアプリとほぼ同等の機能を実現できます。元々はWindows向けだった『C#』ですが、Mac向けの開発環境も用意されています。

 

|Unity

 

Unity Technologiesによって2005年に開発された『Unity』は『C#』や『JavaScript』によってネイティブアプリを開発することができ、特にゲームの開発に定評があります。VRやARを活用したコンテンツを作ることができるのも大きな特徴です。

クロスプラットフォームで開発されたアプリの事例

先に挙げたクロスプラットフォームの代表的なフレームワークによって開発されたアプリをいくつかご紹介します。

 

|トヨタ自動車

 

先に少し触れましたが、日本が誇る世界的自動車メーカーであるトヨタ自動車が、これまでは自社で開発してきた車内の埋め込み機器にFlutterを採用することが大きな話題となりました。

 

|UberEats

 

FacebookがReact Nativeで開発されていることはすでに述べたとおりですが、同じくReact Nativeで開発された有名アプリの一つにUberEatsがあります。

 

|NHK紅白歌合戦

 

大晦日の風物詩であるNHK紅白歌合戦の公式アプリはXamarinで開発されています。

 

|Nintendo Switch Online

 

Nintendo Switch Onlineの公式アプリもXamarinで開発されているのだとか。

 

|ポケモンGO

 

Unityで作られている代表的なゲームアプリと言えばポケモンGOでしょう。その他にも原神やスーパーマリオランなどもUnityで開発されています。

マルチプラットフォームという今後の展望

「マルチ(multi)」とは「複数の・多数の」という意味を持つ形容動詞であり、「クロス(cross)」とは交差することを指す名詞です。「マルチプラットフォーム」とは「多数のプラットフォーム」という意味になり、クロスプラットフォームと同じ意味で使われている言葉ですが、家庭用ゲームに関しては、同じ内容のゲームをゲーム機ごとにそれぞれ別のソフトウェアとして開発することを指します。

 

近年、多くのプログラミング言語やフレームワークがクロスプラットフォーム(マルチプラットフォーム)への対応を目指して進化してきました。トヨタ自動車がFlutterを採用したこともクロスプラットフォームへの大きな追い風になっていくことでしょう。

 

残念ながらまだまだ日本国内では浸透するに至っていないクロスプラットフォームですが、今後主流になっていくことが予想されるため、開発の際には選択肢に入れておきたいところです。

まとめ

今後、アプリケーション開発の主流となっていくことが予想されるクロスプラットフォームですが、日本国内においてはいくつかの有名アプリに採用されているとは言え、開発事例の少なさ、エンジニアの少なさからまだまだ一般的とは言えません。

 

一方、海外においては開発事例やエンジニアも日本に比べて多く、オフショア開発においては、Flutter、React Native、Unityといったさまざまな開発環境を指定できるほどエンジニアの数が豊富です。

 

クロスプラットフォーム開発を行うなら、オフショア開発を視野に入れることで、さらなるコスト削減にもつながります。

 

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この記事を書いた人

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オフショア開発.com 編集部

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