公開日:2022/08/08 最終更新日:2023/08/18

基幹システムとは|DXに伴い基幹システムはクラウド化すべきなのか?

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INDEX

1. 基幹システムとは?

2. 基幹システムの導入により実現できること

3. 基幹システムの種類と主な機能

4. 基幹システムクラウド化の動向|クラウド移行すべきか?

5. 基幹システムをクラウド化するメリット

6. 基幹システムをクラウド化するデメリット

7. 基幹システムをクラウド移行する際の注意点

基幹システムとは?

|基幹システムとは?

 

『基幹』とは物事のおおもとや中心を指す言葉であり、『基幹システム』とは事業の中心を担うシステムを意味します。基幹システムは生産や販売、会計など、各種基幹業務ごとに存在します。それぞれの基幹業務を効率化するためのシステムであり、企業の主要業務を担うシステムであるため、常に安定して稼働することが求められます。

基幹業務は事業によって異なるため、利用している基幹システムの種類や数も企業によって異なります。

 

|業務システムとの違い

 

業務システムとは『業務』に使うシステムのことであり、基幹システムも業務に使用されるシステムですから、業務システムの一つが基幹システムということになります。

 

ただ、業界や企業によっては情報系システムのことを業務システムと呼んでいるケースもあるようです。

 

|ERPとの違い

 

『ERP』とは『Enterprise Resource Planning:企業資源計画』のことであり、企業の資源を総合的に管理して経営を効率化し、企業全体を最適化することを言います。

ERP実現のための情報系システムをERPソフトやERPパッケージと呼び、これらを指して『ERP』と呼ぶこともあるようです。

 

ERP実現のための情報系システムにはさまざまな機能がありますが、代表的なものとして生産や在庫管理、販売や財務・会計・人事などの機能が挙げられます。

基幹システムは前述したように業務ごとに存在しますが、ERPは基幹システムや情報システムを統合してプロセスを総合的に管理するものです。

基幹システムの導入により実現できること

前項では基幹システムがどのようなシステムなのかを解説しました。では、基幹システムを導入すると何が実現できるのでしょうか?

 

|業務の効率化

 

基幹業務をシステム化することで業務の効率が上がります。計算や在庫管理など数字の管理は手動で行うと手間がかかる上に人的ミスが多いもの。このようなミスを減らすことができるため、例えば製造業なら商品の品質向上につながるといったメリットがあります。

 

|業務の標準化

 

業務をシステム化すると、作業の手順や入力するデータ、管理方法などが標準化されます。業務内容が統一されるため作業に無駄がなくなりますし、ノウハウが属人化することを防ぐこともできます。

 

|データの一元管理と可視化

 

基幹業務のシステム化により、データを一元管理し、必要な情報を可視化して経営に活かすことができます。リアルタイムで売上などの数値を見ることができるため、経営判断のスピードアップにつなげることができるのは大きなメリットですね。

基幹システムの種類と主な機能

前項では基幹システムを導入することで得られることについて解説しました。基幹システムが業務ごとに存在することはすでに述べたとおりですが、この項では基幹システムの種類と主な機能について解説します。

 

|基幹システムの種類

 

業種や企業によって基幹システムの種類や数は異なりますが、代表的な基幹システムとしては下記のようなシステムが挙げられます。

 

・生産管理システム

・営業支援システム

・販売管理システム

・在庫管理システム

・顧客管理システム

・人事管理システム

・財務会計システム

 

それぞれのシステムの内容を簡潔に解説していきます。

 

・生産管理システム

 

生産工程における仕入れや品質、原価や納期などさまざまな項目を管理するシステムです。生産管理システムを導入することで、製造業にとって事業の核となる生産工程を無駄なく進めることができます。

 

・営業支援システム

 

営業支援システムはSFA(Sales Force Automation)とも呼ばれる基幹システムです。営業案件の進捗管理や営業活動の状況を共有できるため、個人だけでなくチーム全体の営業活動を効率的に行うことができます。

 

・販売管理システム

 

販売における見積や受注管理、出荷や納品、入金などを管理できるのが販売管理システムです。販売業務のさまざまな工程を総合的に管理することで業務を効率化することができます。受注管理システムや在庫管理システムとの連携で、さらに業務の効率化が見込めます。

 

・在庫管理システム

 

生産管理や販売管理など、他の基幹システムと連携することでより業務を効率化できるのが在庫管理システムです。在庫管理をシステム化することで人的ミスを減らし、多くの基幹業務を効率化します。

 

・顧客管理システム

 

近年、CRM(Customer Relationship Management)という言葉をよく目にするようになりました。CRMとは顧客管理のことであり、顧客管理システムはCRMツールなどとも呼ばれます。

顧客管理システムは、かつては顧客情報の記録を目的としたものでしたが、現在では顧客情報の記録だけでなく見込み客を顧客へと育成するナーチャリングを目的として活用されることも多いようです。

 

・人事管理システム

 

採用や評価、教育をはじめとした、雇用から退職までの人事に関する全ての業務を管理するのが人事管理システムです。例えばシステムによって人事評価の基準を標準化しデータを可視化することで、公平な評価を行うことに役立ちます。

 

・財務会計システム

 

伝票入力や帳簿を作成したり、決算書を作成したり、といった財務会計にまつわる業務をシステム化したものが財務会計システムです。中には給与システムと連携できるものもあります。

 

|基幹システムの主な機能

 

基幹システムはその種類によって主な機能が変わってきます。例えば販売管理システムであれば、見積・受注・売上・売掛それぞれの項目に対して、複数の機能が存在します。

 

販売管理システムの主な機能としては下記のとおりです。基幹システムによって項目や機能は変わります。

 

見積:見積入力機能

   見積書印刷機能

   見積情報検索機能

 

受注:受注情報入力機能

   注文書作成・印刷機能

   受注情報検索機能

   外部データ(CSVなど)取り込み機能

 

売上:売上入力機能

   集計機能

   売上情報検索機能

   外部データ(CSVなど)取り込み・出力機能

 

売掛:請求処理機能

   請求書作成・出力機能

   入金処理機能

   債権情報検索機能

基幹システムクラウド化の動向|クラウド移行すべきか?

この項では基幹システムクラウド化の動向と、基幹システムをクラウド化すべきかどうか、について解説します。

 

近年、基幹システムをクラウド化する動きが加速しています。2018年、日本政府は政府情報システムの構築や整備に関してクラウドサービスの利用を第1候補とする考えを打ち出しました。

 

|基幹システムクラウド化の動向

 

日本政府のクラウド推進の考えが発表されたことにより、官公庁や金融機関でもクラウド活用への動きが進みはじめましたが、これに先駆けて、多くの企業が基幹システムをクラウドへと移行しています。

 

楽天カードは1993年から使われていた、国内信販時代の旧システムを2017年に新システムへと移行。オープン系システムをクラウドサービスで実現したのは国内金融業界においては初めてのことでした。

 

三井物産は基幹システムを完全クラウド化した取り組みが高く評価され、経済産業省と東京証券取引所による『攻めのIT経営銘柄2017』に選出されたのだとか。

 

|基幹システムはクラウド化すべきなのか

 

日本では、多くの企業がレガシーシステムと呼ばれる古い基幹システムを利用しています。古い基幹システムはサーバーの設置やバックアップなど、運用や保守に大きな手間とコストがかかりますが、クラウドはそういった手間とコストを大きく削減することができます。

 

先に例として挙げた楽天カードでは、事業の急成長により古いシステムのデータ処理速度では処理が追いつかなくなってしまった、というのが新システムへの移行へと踏み切った一つの理由だったのだとか。

 

古い基幹システムを利用していて、何らかの不具合や非効率的な作業が発生しているのであれば、新しいシステムに移行すべきです。かつてセキュリティなどの面で不安もあったクラウドですが、現在ではむしろ古いクローズドシステムよりもセキュリティの面で優れていると言われています。

 

基幹システムをクラウド化すべきかどうかの判断は業務内容や目的などによって異なりますが、クラウド化によって多くのシステムとデータ連携ができるようになると、事業全体の効率化にもつながりますから、基幹システムの移行を考えるのであれば、クラウド利用を第1候補とすべきでしょう。

基幹システムをクラウド化するメリット

前項で挙げた基幹システムをクラウド化すべき理由と重複するところもありますが、基幹システムをクラウド化するメリットについて改めて確認しておきましょう。

 

|管理にかかるコスト削減につながる

 

前述したとおり、管理や運用にかかるコストを削減できるのがクラウド化の大きなメリットです。

 

|セキュリティ対策を強化できる

 

こちらも先に少し触れましたが、今のクラウドシステムは非常に高いレベルのセキュリティ対策がなされており、自社管理でセキュリティ対策を行う必要がなくなるのは大きなメリットでしょう。

 

|連携や共有によって事業全体を効率化できる

 

こちらも前述のとおり、基幹システムや外部のシステムとの連携によってデータ活用の幅も広がり、業務効率化を大きく進めることができます。

複数の基幹システムを活用している企業において、基幹システムがそれぞれ独立している状態にある場合、同じ業務が何度も発生しているケースも。こういった無駄がなくなるのもクラウド化のメリットの一つです。

 

|いつでもどこにいても利用が可能

 

クラウドシステムは、インターネットにつながる環境であればどこにいても利用が可能です。在宅勤務でもオフィスと変わらない働き方が可能となります。コロナ禍でテレワークが一気に普及し、テレワークを基本の働き方とする企業も現れました。そういった環境でも、全従業員が生産性を落とすことなく業務にあたれるというのは企業にとって大きなメリットなのではないでしょうか。

基幹システムをクラウド化するデメリット

前項では基幹システムをクラウド化するメリットについて解説しましたが、もちろんクラウド化にはデメリットも存在します。この項では基幹システムをクラウド化するデメリットについて解説します。

 

|インターネット環境がないと活用できない

 

インターネットにつながる環境であればどこでも利用できるのがクラウドのメリットですが、逆に言うとインターネット接続がない環境では利用できないということでもあります。クラウド化を進める前に、必ずインターネット接続の安定性を確保する必要があります。

 

また、災害などによってインターネットに接続できなくなったときの対策についても考えておく必要があるでしょう。

 

|カスタマイズが難しい

 

クラウドの場合はサービスによってシステム要件が制限されるというデメリットがあります。基本的にはカスタマイズも難しいケースが多いため、導入する際には自社の業務にもっとも適したシステムを選択すべきです。

また、カスタマイズがどこまでできるのかについても確認しておきましょう。

 

|ランニングコストがかかる

 

クラウドサービスは基本的に月額料金を支払って利用するサービスです。そのため、自社でサーバー設置をする際のように買い切りとはならず、ランニングコストがかかることは避けられません。基幹システムは長期間使っていくものなので、オプション費用やプランごとの費用などを事前にじっくり確認することが必要です。

基幹システムをクラウド移行する際の注意点

基幹システムをクラウド化するにはさまざまなメリット、デメリットがありますが、業務効率化を考えるのであれば一度は選択肢として入れておきたいのがクラウドサービスです。

 

この項では、基幹システムをクラウド移行する際の注意点について解説していきます。

 

|機能・カスタマイズ性

 

先にも少し触れましたが、検討しているクラウドサービスが必要な機能を網羅しているのか、不要な機能が必要以上に多くないか、またカスタマイズがどの程度可能なのかは最初にチェックすべき項目の一つです。

 

旧システムをそのままクラウドに移行するのではなく、クラウドの長所を活かした構成とすることが重要なので、オンプレミスとクラウド両方に精通した人材にアドバイスを求めるのも良いでしょう。

 

|セキュリティ

 

現在のクラウドサービスは高いセキュリティレベルを誇るとはいえ、万が一情報漏洩などが起きた際の対応についても確認しておくべきです。クラウドサービスのこれまでの実績や、準拠法についても把握しておきましょう。

 

|可用性

 

可用性とは、システムの安定性を表す言葉で、システムが継続して稼働できる能力を意味します。つまり、常に安定してサービスを提供してくれるシステムは可用性が高いシステムということになります。

 

クラウドサービスの品質保証制度や可用性向上の取り組みなどについてもチェックしておきましょう。

まとめ

政府が推奨したこともあり、基幹システムのクラウド化はデメリットもあるものの得られるメリットが多く業務効率化につながるため、多くの企業が実施に踏み切っています。

いち早く実施した企業も多いため、これから導入する際には成功例を参考にできるのが嬉しいところですね。

 

クラウド化をはじめ、DXには優秀なIT人材が必要ですが、近年国内のIT人材は慢性的に不足しており、人件費も高騰しています。

一方、海外に目を向けるとコストをおさえて優秀な人材を雇うことができる可能性が広がっています。DXは海外の方が日本より進んでいるため、DX化の経験は海外の人材の方が豊富であるというケースも多いようです。

 

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この記事を書いた人

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オフショア開発.com 編集部

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