公開日:2021/08/02 最終更新日:2023/09/07
ブロックチェーンとは?業界別・国別の事例やトレンドも紹介
ビットコインとあわせて話題になることが多かったため、仮想通貨そのものであるという誤解を受けることもあるブロックチェーンですが、ブロックチェーンとは技術のことであり、その用途は仮想通貨だけにとどまりません。
アメリカや中国ではブロックチェーンに大きな期待を寄せ、活用も進んでいるのに対し、日本ではビットコインのイメージがつきすぎたせいなのか、ブロックチェーン活用では他国に遅れを取っていると言わざるを得ません。
このテキストでは、ブロックチェーンの仕組みなどの基礎知識や活用する際のメリット・デメリットを解説するとともに、国内外問わずブロックチェーンの活用事例や各国のブロックチェーン開発への取り組みの動向・トレンドを紹介していきます。
ブロックチェーンとは?
■ ブロックチェーンの基礎知識
ブロックチェーンとは、改ざんされにくい仕組みを利用して記録を残す技術のことです。ビットコインに利用されている技術として、ビットコインの流行と共にその名は世界中に知られることとなりました。
ブロックチェーンの起源はサトシ・ナカモトと名乗る人物が発表した論文にあります。サトシ・ナカモト氏は2008年からコンピュータとネットワークを利用した仮想通貨の仕組みをインターネットに公表しており、2009年にはプログラムも公開。2010年にビットコインから離れてからのサトシ・ナカモト氏の消息はわかっていません。
参考:『ビットコイン論文』
■ ブロックチェーンの仕組み・特長
先述したとおり、ブロックチェーンとは改ざんされにくい仕組みを利用して記録を残す技術のことですが、データを書き換えることがほぼ不可能であれば、そのデータの信用度は非常に高いものとなります。
ブロックチェーンでは「ブロック」という単位で情報を扱います。ブロック自体は誰でも確認できますが、ブロックの中身である取引内容の情報は暗号化されており、見ることはできません。取引履歴はオープンですが、取引の内容は確認できないようになっています。
ブロックチェーンにおいて、履歴はブロックの連続として記録されます。新しい情報を記録、つまり新しいブロックを追加する際には一つ前のブロックから鍵を作ります。情報の履歴が追加されるたびに直前のブロックから鍵が発行される仕組みで、ブロックチェーンの名の通り、ブロックをチェーンのようにつないでいくイメージです。
鍵はブロック内のデータをもとに生成されるので、データを改ざんすると鍵自体が変わってしまいます。連続したブロックからブロックごとの鍵が生成されるため、一つのブロックを書き換えるとそれより前のブロックから生成される鍵の形が合わなくなって、すぐ改ざんに気づかれてしまいます。一つのデータを改ざんするためにはそのデータより前のすべてのブロックを書き換える必要があります。そのため、改ざんされにくいのです。
■ビットコインとの関係
通貨とは信用によって成り立つもの。信用のない通貨は価値がありません。前述したとおり、ブロックチェーンは改ざんが非常に難しい仕組みを使って作られているため、データの信用度が高く、仮想通貨を扱うのに最適な技術なのです。ビットコインとあわせて語られることが多いのはブロックチェーンがビットコインのために作られた仕組みであるからであり、ビットコイン=ブロックチェーンではありませんし、ブロックチェーンがビットコインにしか使えない技術というわけでもありません。
■ ブロックチェーンの分類
ブロックチェーンには3種類あり、それぞれ「パブリック型」「プライベート型」「コンソーシアム型」と呼ばれています。
・パブリック型
管理者がおらず、誰でも参加可能なブロックチェーンがパブリック型です。取引履歴がオープンとなっており、一般ユーザーが利用することを想定しているサービスに使われています。ビットコインなどの仮想通貨はほぼパブリック型のブロックチェーンです。
多くのユーザーが利用しているパブリック型は管理者がいないため、誰もがノード(ブロックチェーンに参加するコンピュータもしくは参加者)になることができます。そのため承認などの合意形成に時間がかかり、大量の取引データを処理することが難しいと言われています。
・プライベート型
管理者が存在し、参加するには許可が必要なのがプライベート型のブロックチェーンです。管理者が承認するため、パブリック型のような合意形成を必要とせず、大量の取引データを高速処理することができます。また、データは非公開であるため、銀行や企業などが利用することを想定しているサービスに使われます。
・コンソーシアム型
パブリック型とプライベート型を合わせたタイプのブロックチェーンです。特定の複数管理者によって管理され、運営者のみに公開されます。このコンソーシアム型を利用し、複数の企業が協力して運営するケースが増えています。
ブロックチェーンのメリット・デメリット
■ ブロックチェーンのメリット
ブロックチェーンのメリットといえば、まずは改ざんがほぼ不可能ということでしょう。分散型のネットワークで管理しているため、システム障害に強いこともメリットの一つに挙げられます。
具体的な取引内容は公開されないものの、取引履歴は公開されているので取引の透明度が高いこともメリットと言えます。また、送金に使う際は金融機関を通さないため手数料などのコストをカットできます。
■ ブロックチェーンのデメリット
パブリック型の場合は取引に時間がかかることがデメリットとして挙げられます。プライベート型の場合はパブリック型のように分散してデータを管理することができないため、システム障害にさほど強くないというのもデメリットとして挙げられます。
また、ブロックチェーンは直前のブロックから鍵を生成する仕組みであるため、データを削除することができません。誤ったデータや残したくないデータも記録され続けてしまうのがデメリットと言えるでしょう。
ブロックチェーンの活用ができるサービス / ブロックチェーンの活用事例・開発事例
ブロックチェーンは仮想通貨に適した仕組みであるため、世界の金融機関におけるブロックチェーンの活用は年々進んでいますが、近年は不動産やアートなどさまざまな業界で使われ始めています。
■金融業界
アメリカでは大手銀行がすでにブロックチェーン技術を活用しています。JPモルガンやシティなど、どのような業務にブロックチェーンを利用しているかは明かしていない銀行が多いようですが、ウェルズ・ファーゴの場合は同じ行内の口座間で資金を移動するプラットフォームにおいてブロックチェーンを使用しているそうです。
バンク・オブ・アメリカの調査によると、調査対象の21%の銀行がブロックチェーンを活用しているのだとか。
■不動産業界
2021年5月、日立製作所と積水ハウス、企業間情報連携推進コンソーシアム(NEXCHAIN)、大阪市はブロックチェーンを活用した契約手続きの実証実験を行いました。これは積水ハウスとの賃貸契約と大阪市への水道使用開始手続きをワンストップで行うことが可能になるものです。
2017年からプロトタイプの開発を進めていた「ADRE」は、LIFULLやNTTデータ経営研究所などが立ち上げた不動産情報コンソーシアム。ブロックチェーンなどを活用して不動産情報の共有を行うもので、次世代の不動産情報インフラを構築しています。
■アート業界
ブロックチェーンの改ざんが難しいという特徴は、コピー品や贋作を防止できるため、アートの世界とも親和性が高いと言えます。スタートバーン株式会社はアートの流通・評価のためのインフラ「Startrail」の開発を行っています。
■EC業界
中国の大手企業アリババ系のブロックチェーン部門である案とチェーンは、中国の伝統的な文様などをデザイナーが無料で利用し商品を作ることができる「文昌星伝統文化換新計画」という計画を発表。商品を作る段階で文様の利用権はかかりませんが、売れた数だけ版権の利用代金を支払うというシステムです。このシステムを使って作られたPrimeetデザインの靴下は数秒で4万足が売れたのだとか。
同社はブロックチェーンを利用したデジタル版権保護プラットフォームも展開しており、中国発のコンテンツの海外展開をすすめていくようです。
ブロックチェーン開発の未来 / 海外におけるブロックチェーン開発の動向
中国の最高指導者である習近平氏はブロックチェーンを国家戦略として取り込む方針です。取引履歴の残るブロックチェーンとデジタル通貨はマネーロンダリングや脱税を防ぐことができる上に国民への監視をさらに強めることが可能となる、というのがその狙いの一つだと言われています。中国はブロックチェーンにおける世界のトップランナーとなるべく、ブロックチェーンと他の技術を組み合わせ、さまざまな領域での活用をすすめています。
中国によるブロックチェーン技術に関する2019年の特許出願数はアメリカの3倍の数となりました。
アメリカ国内では共和党の下院議員であるガスリー氏がブロックチェーン技術の普及に関する調査を求める法案を提出しており、「中国に負けるわけにはいかない」と中国への対抗心をあらわにしていますが、アメリカはこの動きに警戒を強めてはいるものの、仮想通貨にはそれほど前向きではないというのが現状です。
デジタル通貨の実用化は先進国よりも新興国が熱心であり、今後の勢力図にも注目したいところですが、ブロックチェーンはいまや、金融だけでなくさまざまな業界で使われ始めている技術であり、2021年にはブロックチェーンによって唯一無二の本物であると認証されたデジタルアートに6万7000ドルもの値段がつきました。
■ブロックチェーンもオフショア開発で
ブロックチェーンの分野では、実証実験は進んできているものの、世界に比べて日本は遅れを取っているため、開発における設備や人材が充実している海外に目を向ける企業も少なくありません。
オフショア開発なら、経験豊富な人材による開発を低コストで進めることができます。ブロックチェーンの導入を考える際には、オフショア開発も一つの方法として考えてみるとよいでしょう。
まとめ
日本国内ではまだまだ活用が進んでいないブロックチェーン。ブロックチェーン導入を考えるのであれば、経験豊富な海外の人材に目を向けてみてはいかがでしょうか。オフショア開発ならコスト削減にもつながります。
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この記事を書いた人
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